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海外需給動向【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2023年5月号

22/23年度の生乳生産量、シーズン後半で好調に転じる

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23年2月の生乳生産量、2カ月連続で増加
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2023年2月の生乳生産量は181万4000トン(前年同月比2.3%増)と2カ月連続で前年同月を上回った(図1)。この結果、22/23年度(6月〜翌5月)の同月までの累計では、1697万2000トン(前年同期比1.6%減)と減少幅は前月から0.4ポイント縮小した。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、連続した降雨と穏やかな気候に恵まれたことで牧草の生育状況が良好であったことを挙げている。また、今シーズンの残りの期間については、(1)牧草の生育状態が引き続き良好なこと(2)3月上旬のサイクロンや南部の干ばつで影響を受けた地域では、早期の乾乳期への移行が懸念されているものの、全体としては少数であること−から好調に推移すると見込まれている。

 
乳製品輸出量、脱脂粉乳およびチーズが好調
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年2月の乳製品輸出量は、脱脂粉乳およびチーズが前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、脱脂粉乳は最大の輸出先である中国向けが前年同月比で4倍程度増加したことで全体でも大幅に増加した。全粉乳は輸出先第1位の中国および第2位のインドネシア向けがそれぞれ減少したことで全体では大幅に減少した。バターおよびバターオイルは最大の輸出先である中国向けが1割程度減少したものの、主要輸出先の豪州向けが同2倍程度増加したことで全体ではわずかな減少にとどまった。チーズは、最大の輸出先である中国をはじめ、主要輸出先の日本、豪州、韓国向けがそれぞれ増加したことで全体でも大幅に増加した。



 
GDT価格、主要4品目すべてで下落
 2023年3月21日に開催されたGDT(注)の1トン当たりの平均取引価格は、主要4品目すべてで前回開催(3月7日)を下回った(図3)。この要因について市場アナリストは、中国経済の回復が予想よりも遅いことを挙げている。一方で、近い将来に中国の輸入回復が見込まれるため、価格が好転するのは時間の問題であるとしている。しかし、中国の需要回復が22/23年度の生産者支払乳価にプラスの影響を与えるには遅すぎるとし、同年度の生産者支払乳価は前年割れで推移すると見込んでいる。

(注)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。

 
(調査情報部 工藤 理帆)