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海外需給動向【飼料穀物/中国】畜産の情報 2023年5月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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国産トウモロコシ価格、飼料需要の減少から下落基調
 中国農業農村部は3月20日、「農産物需給動向分析月報(2023年2月)」を公表した。この中で、2023年2月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに下落している(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、供給面では、気温の上昇に伴い産地でのトウモロコシ貯蔵が難しくなってきたことで、生産者は市場への出荷を早めているとされている。一方、需要面では、豚肉価格の低迷から養豚企業の収益が減少していることで、想定よりも飼料需要が伸び悩んでいることから、トウモロコシ加工業者による在庫の積み増しが進まない状況にあるとされている。このため、国産トウモロコシ価格は、短期的には下落基調での推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、23年2月が1キログラム当たり2.76元(54円:1元=19.72円(注))となった。22年3月以来、国産価格を上回って推移していた輸入トウモロコシ価格は4カ月連続で下落し、国産価格を下回って推移している。また、国産と輸入との価格差は、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)同2.98元(59円)に比べて同0.22元(4円)安となった。


国産大豆価格、供給の調整により安定した推移と予想
 2023年2月の国産大豆価格は、前月並みの水準となった(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、供給面では、トウモロコシと同じく気温の上昇に伴い産地での大豆貯蔵が難しくなってきたことで、生産者は市場への出荷を早めているとされている。一方、需要面では、川下の需要が改善に向かいつつあり、在庫補充の動きが進んでいるとされている。このような中で、中国政府は前年度に続き大豆の増産を掲げたことで、国家備蓄在庫からの旧穀の放出が停止されるなど、政策的に価格を安定させるとの前向きなシグナルが出されている。このため、国内の大豆価格は、短期的には安定した推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、23年2月が1キログラム当たり5.44元(107円、前年同月比 10.8%高)と前月並みの水準が続いている。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.04元(119円、同7.1%高)と同じく前月並みとなった。この結果、国産大豆と輸入大豆との価格差は、1キログラム当たり0.64元(13円)と前月並みとなった。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年3月末TTS相場。

 
(調査情報部 横田 徹)