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海外需給動向【飼料穀物/ブラジル】畜産の情報 2023年5月号

2022/23年度トウモロコシ、大豆生産は作業遅れが見られるものの、過去最大の見込み

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は3月9日、2022/23年度第6回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。







第2期作トウモロコシの播種はしゅ作業、大雨の影響で遅れ
 2022/23年度のトウモロコシ生産量は、前回より93万3600トン上方修正され、1億2467万7400トン(前年度比10.2%増)と前年度をかなりの程度上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった21/22年度の生産量を更新すると見込まれている。
 全生産量の4分の1弱を占める第1期作の生産量は、前回より29万6200トン上方修正され、2675万8000トン(同6.9%増)と前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。これは、前年度、ラニーニャ現象の影響による深刻な雨量不足で大きな被害を受けた南部での生産回復が見込まれるためである。ただし、全体の作付面積は、南東部、中西部および南部を中心に同3.8%減と前年度をやや下回った。なお、収穫作業(3月5日現在)は作付面積の23%で終了し、前年同期より3ポイント遅れている。
 また、全体の4分の3程度を占める第2期作は、前回より63万7500トン上方修正され、9560万4500トン(同11.3%増)と前年度をかなり大きく上回ると見込まれている。ただし、主産地である中西部や南部の州では、過度の降雨により大豆の収穫作業が延長され、その結果、第2期作の播種が遅れたため、今後、第2期作の作付面積の減少も予想されている。なお、播種作業(3月5日現在)は作付面積の64%で終了し、前年同期より11ポイント遅れている。同じく全生産量の2%程度を占める第3期作は、前回と同じく231万5000トン(同4.7%増)と前年度をやや上回ると見込まれている。


大豆生産量、南部リオグランデドスル州における干ばつの影響で下方修正
 2022/23年度の大豆生産量は、前回より147万500トン下方修正されたものの、1億5141万9400トン(前年度比20.6%増)と前年度を大幅に上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった20/21年度の記録を更新すると見込まれている。これは、作付面積が前年度より4.9%増加することに加え、前年度、雨量不足により大きな被害を受けた南部3州や中西部のマットグロッソドスル州での大幅な単収の回復が見込まれるためである。ただし、主産地である中西部や南部の州では、過度の降雨により大豆の収穫作業が遅れている。このため、収穫作業(3月5日現在)は作付面積の44%で終了し、前年同期より9ポイント遅れている。
 州別で見ると、主産地の一つである南部のリオグランデドスル州では2月、播種終了後において干ばつによる被害がさらに拡大した。このため、生産量は379万5000トン減と前回に続き下方修正され1518万8200トンとなるものの、干ばつにより大きな被害を受けた前年度の生産量を7割上回ると見込まれている。

 
(調査情報部 井田 俊二)