生産量
令和5年3月の牛肉生産量は、2万9499トン(前年同月比3.4%増)と前年同月をやや上回った(図1)。品種別では、和牛は1万3492トン(同2.8%増)とわずかに、交雑種は8045トン(同10.8%増)とかなりの程度、それぞれ前年同月を上回った一方、乳用種は7445トン(同2.9%減)とわずかに前年同月を下回った。
なお、過去5カ年の3月の平均生産量との比較では、9.2%増とかなりの程度上回る結果となった。
輸入量
3月の冷蔵品の輸入量は、前年同月の豪州産の輸入量が現地相場の高騰により少なかったことなどから、1万7758トン(同5.3%増)と前年同月をやや上回った(図2)。冷凍品は、前年同月の米国産およびカナダ産の輸入量が現地相場の高騰により少なかったことなどから、1万8982トン(同11.6%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図3)。この結果、全体では3万6768トン(同8.4%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
なお、過去5カ年の3月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は18.8%減と大幅に、冷凍品は7.1%減とかなりの程度、いずれも下回る結果となった。
家計消費量等
3月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は161グラム(同11.8%減)と前年同月をかなり大きく下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の3月の平均消費量との比較でも、15.2%減とかなり大きく下回る結果となった。
3月の外食産業全体の売上高は、13日よりマスク着用が個人の判断に委ねられ、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)に関する規制緩和の動きが明確となる中、歓送迎会や春休みシーズンで個人や家族客が増加したことなどから、前年同月比で18.8%増と大幅に上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、COVID−19全盛期ほどの伸び率ではないものの引き続き堅調に推移し、同8.6%増と前年同月をかなりの程度上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風は、消費意欲の高まりが売り上げを押し上げ、同12.8%増と前年同月をかなり大きく上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、春休みおよび卒業シーズンで団体客が戻り、同39.7%増と前年同月を大幅に上回った。
推定期末在庫・推定出回り量
3月の推定期末在庫は、14万9724トン(同17.1%増)と前年同月を大幅に上回った(図4)。前年同月比で19カ月連続の増加となった。このうち、輸入品は13万7128トン(同19.6%増)と前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は、7万713トン(同4.7%増)と前年同月をやや上回った(図5)。このうち、国産品は2万8484トン(同1.3%減)と前年同月をわずかに下回った一方、輸入品は4万2229トン(同9.2%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)