フィードロット飼養頭数、前年同月比4.4%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年3月のフィードロット導入頭数は199万2000頭(前年同月比0.6%減)、出荷頭数は197万7000頭(同1.2%減)となり、同年4月1日時点のフィードロット飼養頭数は同4.4%減の1161万2000頭とやや減少した(図1)。導入頭数は事前予測よりも多く、減少幅が小さくなったことについて現地報道では、メキシコからの生体牛の輸入頭数が増加していることを一因としている。
肥育牛価格は高値が継続
米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2023年3月の肥育牛価格は100ポンド当たり166.45米ドル(1キログラム当たり496円:1米ドル=135.13円
(注)、前年同期比20.3%高)となり、前述した肥育牛出荷頭数の減少を背景に高値圏で上昇している(図2)。
4月に入っても肥育牛価格の上昇は続いており、USDAは処理施設に余力があるものの供給が比較的厳しい北部の需要が高いことを要因としている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年4月末TTS相場。
23年2月の牛肉輸出量は前年同月比減も回復の兆し
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年2月の牛肉輸出量は11万3745トン(前年同月比1.4%減)と、好調であった前年同月をわずかに下回ったものの前月から3.4%増加した(表)。
23年1〜2月の累計輸出量を見ると、1月が全体的に低調であったため、前年同期比9.0%減となった。主要輸出先では、日本およびメキシコ向けは増加したが、輸出先第2位の韓国向けは前年1月の輸出量急増の反動から、同22.1%減となった。また、第3位の中国向けは同14.2%減となっている。USDAは、中国は年間を通じて米国産牛肉の輸出先として重要な市場であることに変わりないが、今後オセアニアの牛肉生産量が増加することで、同国のシェア(市場占有率)の獲得競争に直面する可能性を指摘している。
メキシコ向けについては、1月に引き続き好調を維持し同17.5%増となった。ただし、同国は23年からブラジル産牛肉の一部を輸入解禁したことから、米国食肉輸出入連合会(USMEF)は、今後ブラジル産牛肉との競合を見込んでいる。
(調査情報部 上村 照子)