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海外需給動向【牛肉/ブラジル】畜産の情報 2023年6月号

23年の牛肉生産量は2年連続で増加の予測

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23年の牛肉生産量、前年比2.1%増の予測
 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2023年のブラジルの牛肉生産量は1057万トン(前年比2.1%増)と前年からわずかに増加し、2年連続の増加が予測されている(図1)。これは、海外からの堅調な牛肉需要により、と畜頭数が同2.8%増の4324万頭と予測されるためである。
 近年の牛肉生産量を見ると、20〜21年はと畜対象となる個体が少なく前年割れで推移したが、22年はと畜頭数の回復に加えて牛肉価格が高水準で推移したことから前年比6.2%増と増加に転じていた。
 
 
23年1〜3月牛肉輸出量は前年同期を下回る
 ブラジル経済省貿易事務局(SECEX)によると、2022年の牛肉輸出量は199万1201トン(前年比27.6%増)と前年を大幅に上回った(表、図2)。これは、海外からの堅調な牛肉需要によるものであり、輸出単価も前年比16.1%高と上昇した。また、21年は9月に国内で非定型BSEに感染した個体が確認され、12月15日までの約3カ月間、中国向け輸出が停止していたが、これが解除されたことも大幅な輸出量増加の要因となった。
 輸出先別に見ると、輸出量全体の6割程度を占める中国向けは123万8001トン(同71.2%増)と、輸出再開後は前年実績を大幅に上回って推移した。これに次ぐ米国向けは8万8713トン(同3.4%増)と前年をやや上回った。同国向けは、22年1〜3月に前年同月を大幅に上回ったが、その後は減速した。また、エジプト向けは8万5363トン(同31.1%増)とハラール牛肉需要の高まりなどを背景に大幅に増加した。




 23年1〜3月の牛肉輸出量は、41万1048トン(前年同期比11.7%減)と前年同期をかなり大きく下回った。これは、2月に非定型BSEに感染した個体が確認され、2月23日から1カ月間、中国向け輸出が停止したことなどが影響している。ただし、20、21年の同期の水準は上回っている。

23年の肥育牛価格は下落傾向で推移
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、2022年の肥育牛価格は、(1)海外からの堅調な需要(2)飼料や肥料などの生産コストの上昇(3)インフレの進行―などを背景に上昇し、同年3月14日には1キログラム当たり23.47レアル(634円:1レアル=27.02円(注))の最高値を記録した(図3)。しかし、その後は、不透明な世界経済の状況などを反映して下落傾向で推移し、23年4月24日時点の価格は、前年同期比14.0%安の同18.86レアル(510円)となった。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年4月末Selling相場。

 
(調査情報部 井田 俊二)