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海外需給動向【豚肉/米国】畜産の情報 2023年6月号

豚飼養頭数、3年ぶりに前年を上回る

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豚飼養頭数、前年同月比0.2%増
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年3月1日時点の豚飼養頭数は7286万頭(前年同月比0.2%増)と前年並みになった(表1)。22年は飼料費の高騰やカルフォルニア州法の施行(飼養環境規制の強化)をにらんで生産者の増頭意欲の減退などで豚飼養頭数は減少したが、堅調な豚肉輸出需要などにより、23年前半にかけては増加に転じると予測される。内訳を見ると、繁殖豚頭数が613万頭(同0.5%増)とわずかに増加し、肥育豚頭数が6673万頭(同0.2%増)と前年並みとなった。また、22年12月〜23年2月の分娩母豚頭数は291万頭(前年同期比0.3%減)とわずかに減少したものの、産子数(同0.3%増)、1腹当たり産子数(同0.6%増)はわずかに増加した。


 
23年3月の豚肉生産量、前年同月比1.3%増
 USDAによると、2023年3月の豚肉生産量は、と畜頭数の増加により112万9000トン(前年同月比1.3%増)と前年同月からわずかに増加した(図)。23年第2四半期(7〜9月)の豚肉生産量についてUSDAは、生産者の増頭意欲の回復や1頭当たり産子数の増加などから当初予測を上方修正し、301万トン(前年比1.5%増)と前年をわずかに上回ると見込んでいる。

 
23年1〜2月の豚肉輸出量、中国、ドミニカ共和国向けが大幅増
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年2月の豚肉輸出量は22万8700トン(前年同月比3.7%増)とやや増加し、1〜2月累計では48万800トン(前年同期比6.4%増)とかなりの程度増加した(表2)。輸出先別に見ると、最大の仕向け先であるメキシコ向けが18万4800トン(同2.1%増)とわずかに増加し、中国向けも需要回復から4万8100トン(同24.0%増)と大幅に増加した。また、ドミニカ共和国向けは、同国でのアフリカ豚熱(ASF)による豚肉生産量の減少や観光需要の回復に伴って2万3800トン(同55.3%増)と大幅に増加した。一方、日本向けは7万9800トン(同1.2%減)とわずかに減少し、韓国向けも3万6500トン(同9.7%減)とかなりの程度減少した。23年の豚肉輸出見通しについてUSDAは、国内生産量が増加する中で、北米、中米地域からの堅調な需要を受けて、289万4000トン(前年比0.7%増)と前年をわずかに上回ると見込んでいる。

 
(調査情報部 伊藤 瑞基)