豚総飼養頭数、前年比1.7%減
カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2023年1月1日時点の豚飼養頭数は1393万頭(前年比1.7%減)とわずかに減少し、16年以来の低水準となった(表1)。内訳を見ると、繁殖豚が125万頭(同0.8%減)、肥育豚は全重量帯で減少して1268万頭(同1.8%減)となった。米国農務省(USDA)は減少の要因として、飼料費の高騰やカナダ東部(オンタリオ州やケベック州)でのと畜処理能力の低下に起因する生産者の増頭意欲の減退を挙げている。また、今後のと畜処理能力については、労働力不足やこれに伴う一部食肉処理場の閉鎖が見込まれることで、大幅な回復は難しい状況としている。
23年の豚肉生産量は、と畜頭数が2120万頭(同2.8%減)と減少することにより、200万トン(同4.3%減)と前年をやや下回ると予測されている。
23年1〜2月の生体豚輸出量、前年同期比4.5%増
2023年1〜2月の生体豚輸出頭数(米国向け)は、カナダ国内のと畜処理能力の低下から輸出に仕向けられたことで、106万頭(前年比4.5%増)とやや増加した(図)。中でも米国の豚肉生産企業への出荷が容易とされるカナダ西部(アルバータ州など)からの輸出が堅調となった。USDAは23年上半期(1〜6月)もこの傾向が続くとした上で、同年の生体豚輸出頭数を650万頭(同0.3%増)と見込んでいる。
23年2月の豚肉輸出量、前年同月比12.4%減
カナダ統計局によると、2023年1〜2月の豚肉輸出量は16万1900トン(前年同期比11.9%減)とかなり大きく減少した(表2)。輸出先別に見ると、最大の仕向け先である米国向けは、需要が減退する中での米国内の生産量の増加により、5万800トン(同10.2%減)とかなりの程度減少し、日本向けについても、2万5500トン(同18.7%減)と大幅に減少した。一方、中国向けは小売や外食産業での豚肉需要の回復などにより、2万9100トン(同6.0%増)とかなりの程度増加した。23年の豚肉輸出の見通しについてUSDAは、国内生産量の減少により、136万トン(同4.9%減)と前年をやや下回ると予測している。
(調査情報部 伊藤 瑞基)