23年2月の生乳出荷量は増加も今後は減産を予測
欧州委員会によると、2023年2月の生乳出荷量(EU27カ国)は1110万5160トン(前年同月比0.9%増)となった(図1、表)。主要生産国別に見ると、ドイツ(同2.3%増)、オランダ(同4.0%増)、イタリア(同0.5%増)、デンマーク(同1.0%増)、ベルギー(同5.0%増)が前年同月を上回った一方、フランス(同1.2%減)、スペイン(同1.9%減)は3カ月連続で前年同月を下回った。
欧州委員会が3月30日に公表した農畜産物の短期需給見通しの中で、23年の生乳出荷量については、生産コストの高止まりなどからと畜頭数が増加し、乳用経産牛飼養頭数が前年比1.0%減となるため、同0.2%減と予測している。
生乳取引価格、3カ月連続で前月を下回る
欧州委員会によると、2023年3月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり51.76ユーロ(7740円:1ユーロ=149.54円
(注)、前年同月比17.9%高)と前年同月を大幅に上回った(図2)。一方、前月比では2.9%安となり、3カ月連続で前月を下回った。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年4月末TTS相場。
乳製品価格は引き続き下落傾向
欧州委員会によると、直近2023年4月16日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり472ユーロ(7万583円、前年同期比31.7%安)、脱脂粉乳が同239ユーロ(3万5740円、同42.8%安)と前年同期を大幅に下回った(図3)。
前述の見通しの中でこれら乳製品価格下落の要因として、需要者がより一層の下落を見越して発注を先延ばししていることや、消費者が買い控えを行っていることを挙げている。また、22年末のバターおよび脱脂粉乳の在庫がそれぞれ前年比11.1%増、同85.7%増と積み上がっているため、23年の両品目の生産量を同0.2%減と予測している。
同委員会は、同年の生乳出荷量を同0.2%減と予測しているものの、天候の回復による乳脂肪分と乳たんぱく質含有量の増加を見込んでおり、加工用生乳の供給量は安定し、他の乳製品より付加価値の高いチーズの生産に仕向けられるとしている。
(調査情報部 渡辺 淳一)