23年3月の生乳生産量、前年同月並み
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2023年3月の生乳生産量は181万4900トン(前年同月比0.3%増)と前年同月並みとなった(図1)。ニュージーランド証券取引所(NZX)によると、22/23年度(6月〜翌5月)は、シーズン当初から多雨と低温が続き、一部地域では洪水が発生するなどして生乳生産量の低迷が続いた。しかし、3〜4月は同国の大部分で穏やかな天候に恵まれたことで牧草の生育状況が改善し、シーズン後半の生乳生産の好転につながったとしている。今後の予測についてNZXは、冬季に向かうにつれて気象条件が悪化すると予測しており、天候不良が5月下旬の生乳生産に影響を及ぼす可能性を示唆している。
乳製品輸出量、粉乳類は前年割れが続く
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2023年3月の乳製品輸出量は、バターおよびバターオイル、チーズが前年同月を上回った一方で、脱脂粉乳および全粉乳は前年同月を下回る結果となった(表1、図2)。
また、輸出先別で見ると、脱脂粉乳および全粉乳は最大の輸出先である中国向けや主要輸出先のインドネシア向けがそれぞれ減少したことで全体でも前年同月を下回った(表2)。NZ乳業大手フォンテラ社のハレル最高経営責任者(CEO)は、中国では全粉乳を中心に国内在庫が積み上がっているため、同国からの需要が想定した水準にまで戻ってきていないと言及している。一方、豪州向けは、同国の生乳生産量が歴史的な低水準で推移していることから、主要4品目すべてで前年同月を大幅に上回る結果となった。
他方、輸出額を見ると、粉乳の輸出が低迷していることや国際相場の停滞を受けて15億8341万NZドル(1377億3481万円:1NZドル=84.46円
(注1)、同5.8%減)と前年同月をやや下回った。こうした流れを受けて同社は4月3日、22/23年度の生産者支払乳価を生乳の固形分
(注2)1キログラム当たり平均8.3NZドル(701円)に引き下げると発表した
(注3)。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場の2023年4月末TTS相場。
(注2)乳脂肪分および乳たんぱく質。
(注3)海外情報「乳製品取引価格、主要4品目で上昇も不透明な状況が続く(NZ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003519.html)を参照されたい。
(調査情報部 工藤 理帆)