国産トウモロコシ価格、需要の低下から弱含みでの推移と予想
中国農業農村部は4月27日、「農産物需給動向分析月報(2023年3月)」を公表した。この中で、2023年3月の国産トウモロコシ価格は、前月からわずかな下落となった(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、供給面では、気温の上昇に伴い産地でのトウモロコシ貯蔵が難しくなり、生産者の販売意欲がより高まったとされている。需要面では、この動きに合わせてコーンスターチ製造各社などが前年より早めにトウモロコシの入手を行ってきたことで川下の需要は低下傾向にあり、トウモロコシ加工業者もすでに一定量の在庫を確保したとされている。このため、国産トウモロコシ価格は、短期的には弱含みでの推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、23年3月が1キログラム当たり2.66元(52円:1元=19.65円(注))となった。22年3月以来、国産価格を上回って推移していた輸入トウモロコシ価格は5カ月連続で下落し、国産価格を下回って推移している。また、国産と輸入との価格差は、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.94元(58円)となったことから同0.28元(6円)に拡大した。
国産大豆価格、需給調整などにより安定した推移と予想
2023年3月の国産大豆価格は、前月並みの水準となった(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、供給面では、トウモロコシと同じく気温の上昇に伴い産地での貯蔵が難しくなったことで、生産者の販売意欲がより高まっているとされている。一方、需要面では、生体豚価格の下落などによる飼料(大豆かす)需要の低下など川下の動きが比較的弱く、市場での取引数量に大きな動きが見られないとされている。このような中で、中国政府は前年度に続き大豆の増産政策を掲げていることで、価格や需給バランスの安定を図るための関係部門による備蓄大豆の放出の停止や、今年の大豆生産を安定させるための補助政策などが打ち出されている。このため、国内の大豆価格は、短期的には安定した推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、23年2月が1キログラム当たり5.44元(107円、前年同月比11.3%高)と前月並みの水準が続いている。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同6.04元(119円、同7.1%高)と同じく前月並みとなった。この結果、国産大豆と輸入大豆との価格差は、1キログラム当たり0.64元(13円)と前月並みとなった。
国際相場に影響する大豆の輸入量については、前年に比べて高い水準での開始となった。23年(1〜2月)の輸入量は1617万トン(前年同期比16.0%増)、輸入額は世界的な穀物相場高の影響から同29.7%増の108億2600万米ドル(1兆4629億円:1米ドル=135.13円
(注))と報告されている。主な輸入先は米国(総輸入量の71.6%)、ブラジル(同13.9%)、アルゼンチン(同8.4%)であった。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年4月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)