畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > ご当地ヨーグルトの交流研さんコミュニティ「ヨグネット」が目指すもの

調査・報告 畜産の情報 2023年6月号

ご当地ヨーグルトの交流研さんコミュニティ「ヨグネット」が目指すもの

印刷ページ
ヨグネット代表 向井智香

【要約】

 ご当地ヨーグルトのイベント「ヨーグルトサミット」が全国各地で開催された。本イベントの主催者は開催地ごとに変わり、さまざまな開催方式を経て、コロナ禍でも開催された。また、同サミットから派生したグループ「ヨグネット」も生まれた。同グループは、ヨーグルトを介して中小乳業メーカーや消費者など幅広いコミュニティの構築を目指し、さまざまな課題を解決するために運営母体の法人化に向けて取り組んでいる。

1 はじめに

 旅先で、いつも使うスーパーマーケットでは見かけないヨーグルトに出会ったことはありませんか。もしかしたら、お取り寄せで少し高価なヨーグルトを楽しんでみたり、ご自身の出身地のヨーグルトをお中元やお歳暮に贈られたりしている読者の方もいらっしゃるかもしれません。日本には、その土地に根差した中小乳業メーカーが点在し、「ご当地ヨーグルト」と呼ばれる地域性の強いヨーグルトが製造・販売されています。
 私はそんなご当地ヨーグルトの魅力にかれ、お取り寄せやフィールドワークを通して学んだ情報をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で発信する活動家、いわゆる「ヨーグルトマニア」です。その活動の一環で、日本最大級のヨーグルトイベント「全国ヨーグルトサミット」に関わらせていただくうちにご当地ヨーグルトが抱える課題に気づき、現在は課題解決に向けて「一般社団法人ヨグネット」の設立作業を進めています。
 この取り組みが同じような悩みを抱える方々のお役に立てればと思い、寄稿させていただきました。順を追ってご説明していきます。

2 ご当地ヨーグルトとは

「ご当地ヨーグルト」という言葉に明確な定義は存在しないのですが、個人的には次の4点を主な特徴としています(写真1)。

(1)地域に根差した中小乳業メーカーや牧場、専門店の工房などで製造されている。
(2)原料となる生乳の集乳範囲が狭く地域が限定されている。
(3)地域性が製品ブランディングの一つとして機能している。
(4)製造量が少なく主に製造地周辺で販売されている。
 
 ご当地ヨーグルトを製造するメーカーのルーツをたどってみると、地域の酪農家たちが「自分たちの搾った生乳の味を地元の人たちに届けたい」と出資し合って乳業を立ち上げたというケースも珍しくなく、「発酵」よりも「生乳」の特性にアイデンティティが置かれた商品が多いのが大手乳業メーカーとの一番の違いと言えます。

 集乳範囲が狭いため搾乳から製造加工までの時間が短く、鮮度の高い生乳から得られる風味の良さは最大の魅力です。牛の餌や飼育環境、品種などに特徴をつけて「乳の味」で差別化を図ることもできます。
 そんなこだわりを最大限に生かすため、生乳の風味を損なわない低温殺菌や、発酵によって生まれる酸味を抑える低温長時間発酵が用いられることも多く、大量生産には向きません。一般的なヨーグルトと比べると明らかな付加価値が生じるのですが、原料の良さや製造の手間といったバックグラウンドの価値を製品パッケージだけで表現し尽くすのは困難を極めます。

3 ヨーグルトサミットの誕生

 ところで、そんなご当地ヨーグルトが大集結する「ヨーグルトサミット」をご存知でしょうか。日本最大級のヨーグルトイベントで、2018年10月20〜21日に茨城県小美玉お みたま市にて初めて開催されました(写真2、3)。同市は県内第1位の生乳生産量を誇る酪農地域で、地元の株式会社小美玉ふるさと食品公社がご当地ヨーグルトを製造しています。同市は全国で初めて「乳製品による乾杯を推進する条例」を定め、市民の結婚式にヨーグルトを無償提供するなど、自治体としてもヨーグルトのプロモーションに熱心です。
 この街で誕生したヨーグルトサミットが素晴らしかったのは、小美玉市のヨーグルトをフィーチャーするイベントではなく、全国の中小乳業メーカーが一丸となってご当地ヨーグルト界を盛り上げるイベントだったことです。全国各地から28社が出店し、100種類のご当地ヨーグルトが総選挙で人気を競い合った他、研究者や酪農家による講演会、メーカー同士が語り合うための場の提供など、生産側向けのコンテンツも大変充実していました。光栄なことに私も講師として招いていただき、ご当地ヨーグルトの魅力を語らせていただきました(写真4)。
 なお、このイベントには2日間で延べ3万9000人もの来場があり、ヨーグルトの需要の大きさに誰もが驚いたのでした。





4 運営母体が存在しないイベント

 意外だったのは、2回目のヨーグルトサミットが岡山県真庭まにわ市で開催されたことです。ヨーグルトサミットは小美玉市独自のイベントではなく、自治体持ち回りのイベントとしてバトンタッチされたのでした(写真5〜7)。
 真庭市の蒜山ひるぜん地域では、1955年ごろからジャージー種でのブランディングに取り組んでおり、今では日本最大のジャージー種飼育地として知られています。ご当地ヨーグルトの中でも「蒜山ジャージーヨーグルト」は抜群の知名度があり、ヨーグルトサミットの開催地としては申し分のない実績です。
 しかしながら当地でのヨーグルトサミットの開催は初めてのことで小美玉市からの引き継ぎが不可欠ですが、同市からはボランティアによる応援を受けました。
 主催者がすべて入れ替わるため理念や熱量も異なり、第1回とは違った個性のイベントが出来上がり、2019年9月28〜29日の2日間で延べ4万1400人(他のイベントと合同開催)の来場がありました。





5 コロナ禍でのヨーグルトサミット

 第3回のヨーグルトサミットはさらに形を変え、初の民間主体のイベントとして岩手県へ受け継がれました(第3回全国ヨーグルトサミットinいわて)。県内12社の乳業メーカーが共同で実行委員を立ち上げ、2021年の開催に向けて準備を進めましたが、ここで直面したのが新型コロナウイルス感染症です。
 緊急事態宣言が繰り返し発せられ、これまでのような数万人規模の対面イベントの開催は実現不可能な状況になりました。第3回のサミットには私も実行委員と同等の立場で企画初期から関わらせてもらっていたのですが、ほとんど仕上がっていた企画を白紙に戻した日の絶望感は今でも鮮明に記憶に焼きついています。
 それでも岩手の実行委員は諦めませんでした。小規模な会場イベントとオンラインイベントとを掛け合わせた「ハイブリッド開催」へと企画を切り替え、インスタライブやWEB投票などを活用して全国のヨーグルトファンを巻き込んだイベントを実現させました(写真8、9)。
 会期中には開催会場での食品イベントとして、歴代第2位の売り上げを記録するほどのご当地ヨーグルトを売り、WEB投票企画「ヨーグル党総選挙」(図)には全国から8616人もの消費者の方々にご参加いただくなどオンラインならではの盛り上がりが作れた一方で、参加メーカーからは「岩手に行きたかった」との声も多々いただきました。
 それは、ヨーグルトサミットは消費者向けのイベントであると同時に、メーカー同士が交流する場としても非常に重要な役割を担ったイベントだったことを意味しています。





6 同業者同士の交流

 同じご当地ヨーグルトを製造販売する業者同士はライバル関係ではないの?そんな疑問を寄せられることもあります。しかし、実際にヨーグルトサミットに関わった複数の中小乳業メーカーにヒアリングを行ったところ、面白い答えが返ってきました。

・ヨーグルトサミットをやる前は全員が敵に見えていたけれど、参加して交流することで考えが変わった
・工場の機械トラブルで学校給食の牛乳が製造できない危機に見舞われた際、近隣のメーカーに製造を助けてもらった
・発酵の不具合で困っていることがあり、他のメーカーはどうしているのか聞いてみたい
・普段から展示会などで必ず顔を合わせるメーカーがあり、ヨーグルトサミット開催前から特定の付き合いはあった
・他地域に営業をかける際、その地域のメーカーに助言をもらっている

 状況はさまざまですが、総じて同業者間の交流には前向きで、中小乳業メーカーの企業活動にとって必要な要素であることがうかがえます。実はヨーグルトマニアとして多数のメーカーと交流のある私のところには、よく「〇〇社を紹介してほしい」「〇〇で困っているが他のメーカーはどのように解決しているか知らないか」などの問い合わせが入ります。今までは私がハブとなって1件ずつ対応していたのですが、「第3回全国ヨーグルトサミットinいわて」でメーカー同士の交流の場が作れなかったことへの後悔と相まって、ある考えが浮かんできます。

7 日常的な交流の場を作りたい

 第1、2回のヨーグルトサミットではメーカー同士の大規模な交流の場があったものの、その場限りになってはいないだろうか?ヨーグルトサミットが開催されていない期間も交流の場があるべきではないだろうか?
 第1回のヨーグルトサミットを立ち上げた小美玉市の職員である中本正樹氏と、第3回の総合プロデューサーを務めた元湯田牛乳公社の小林冬樹氏と共にそんな考えを話し合い、試験的にオンライン会議システムで日本各地の中小乳業メーカーが交流研さんを行うヨーグルトネットワーク、略して「ヨグネット」という企画を立ち上げてみました。
 2022年4月20日に開催した第0回ヨグネットには、広島県の乳業メーカー砂谷株式会社の久保宏輔氏を講師にお迎えし、ナフィールド国際農業奨学金(注1)の奨学生としてご経験されたことをお話しいただきました(写真10)。全国から複数のメーカーにご参加いただき、意見交換などが行われ、非常に有意義な時間となりました。

(注1)1940年代にイギリスで創設された生産者による農業者向け奨学金制度。その国の農業や産業に貢献するリーダー人材を養成することを目的とする制度で、イギリス、オーストラリアを中心に1700人以上の実績がある。

8 ヨグネットとご当地ヨーグルトをどう育てるか?〜問題点と対策〜

 交流研さんの場としては無事船出を果たしたヨグネット。しかし、このネットワークを誰が何の予算で運営し、どこへ向かっていけばいいのだろうか?出だしはよかったものの、思いつきで立ち上げた企画は曖昧な点だらけで、さらに不運なことに立案者の中本氏はご異動、小林氏はご転職によりそれぞれヨグネットから脱退。自治体・乳業・活動家と揃っていた主催者側のバランスが崩れ、その後しばらく企画は保留状態となりました。
 そこでヨーグルトサミットやヨグネットを持続可能な企画に整えるためにこれまでの流れを振り返ってみたところ、以下の問題点が整理されました。

(1)ヨーグルトサミットの運営母体の必要性

 運営母体を持たないヨーグルトサミットは、「第3回全国ヨーグルトサミットinいわて」を最後に引き継ぎ先が見つからずに頓挫しています。ヨーグルトサミットの開催には多大な費用と工数がかかりますので、「参加はしたいが主催はしたくない」というのが多くの自治体、乳業メーカーの本音です。また、主催者が毎回異なることで引き継ぎ業務が煩雑となり、同サミットの完成度や趣旨が開催回ごとに一貫していないことにも課題を感じています。
 これらの課題を解決するためには、運営母体を作る必要があります。母体を作ることで作業内容がパッケージ化され煩雑さが解消されます。また、運営の一助となる助成金・補助金の取得できる幅が一気に広がります。母体内で理念を共有しつつ、時勢や参加者からのフィードバックを受けて細やかな舵取りを行うことで、イベントの意義を年々深めていくことも出来るのです。

(2)中小乳業メーカーの交流の場の提供

 ヨーグルトサミットでいったんはメーカー同士の接点が作られたものの、その後に交流を深めるイベントは用意されていません。コロナ禍で展示会も下火になっていた時期には本当に顔を合わせる機会が失われ、疎遠になるばかりでした。ここで役に立つのは物理的距離の制約を受けないオンライン会議システムですが、ヨグネットの企画を持続させるためにはいくつかクリアすべき課題があります。
 まずは主催者の存在です。誰かが音頭をとらねばなりません。次に運営費。システム利用費や主催者、発表者の人件費を捻出する必要があります。そして意外と重要なのが参加のための大義名分です。交流を希望する人の中には、ご自身の意思で参加できる役員から、社内で許可を取らなければ正式に参加できない社員までさまざまです。あらゆる立場の方に参加いただくには、社内での説得材料となるわかりやすいメリットを提示しなければなりません。

(3)ご当地ヨーグルトの価値訴求の必要性

 大手乳業メーカーの商品とは価格帯の異なるご当地ヨーグルト。ただ小売店の棚に並べられるだけでは価格競争の渦に飲まれてしまいます。そこで必要になるのが正しい価値訴求です。ご当地ヨーグルトには生乳の鮮度や少量生産ならではの味わいといった重要なセールスポイントがありますが、あまり理解されていません。市場をけん引するのは乳酸菌の名前や機能をうたった商品が多く、ヨーグルトは健康面への訴求が強い商品であるが故に、一次産業の生み出す魅力が二の次にされてしまいがちです。
 この課題に立ち向かうには、「ご当地ヨーグルト」というカテゴリー認知が最も有効な手立てではないでしょうか。大手乳業メーカーの商品の中に飛び込んで負けてしまうのならば、市場に「ご当地ヨーグルト」のカテゴリーを作らせ、棚を明確に分けてしまおうという策略です。精肉売り場に和牛コーナーがあるように、ヨーグルトにも生乳の質で勝負する商品枠を作ることで、機能性商品とは別軸のニーズを作り出す必要があったのです。

9 ヨグネットの目指すべき姿

 では、前述の課題と解決方法をすべてヨグネットに集約してみるとどうでしょう。オンライン会議システムを使ってメーカー同士が交流する際の根源的なテーマを「ご当地ヨーグルトの価値訴求について」とし、あらゆる角度から情報交換を行う。そして、その成果のアウトプット先をヨーグルトサミットとする。そうすれば、日本各地の中小乳業メーカーが問題意識や理念を共有しながら共同でヨーグルトサミットの運営母体を務めることができるのではないでしょうか。
 開催地の主催者だけに負担が集中することもなくなるので、誘致のハードルも下がるでしょう。ゴールをヨーグルトサミットとすることで参加目的も明確となり、会費を設けても研修費や広義の広告宣伝費と捉えて出資もしてもらいやすくなります。

10 ヨグネットの代表として〜マニアとしての役割〜

 こうして形が見えてきたヨグネットは、どのメーカーにも属さない一般人である私が代表理事となり、一般社団法人として正式に法人化する運びとなりました。世の中に存在する食品系の団体などには、いわゆる「マニア」が立ち上げたものが多数存在します。マニアは商品に対する理解が深く、多数のメーカーとのつながりを持つ中立的な立場であり、メディア露出が得意な生き物です。各地の中小乳業メーカーをつなぐハブとなり、ご当地ヨーグルトの魅力をアピールするアイコンとして前線に立つには自分が適任との結論に至りました。

11 ヨグネットの初舞台、FOOD展2022

 数万人規模のヨーグルトサミット再開催をゴールに据えて、まずは小さな成功体験とチームの構築を進めました。まだ法人化も間に合っていないヨグネットの初舞台として食品専門の商業展示会である「FOOD展2022」(東京ビッグサイトにて2022年9月28〜30日に開催)へ出展しました。前年度より「乳製品製造・開発技術ゾーン」が新設されており、一般財団法人食品産業センターの菅原秀喜氏に出展を勧めていただいたのがきっかけです。
 スモールスタートのつもりでしたが、実現には想像以上の苦労がありました。出展ではパネルによるご当地ヨーグルトの紹介や試食提供を中心に企画しましたが、協力を仰ぐに当たり中小乳業メーカーの中にはいまだに電話やFAXを主な連絡手段とするところも多く、メールの返信がないことに加え、必要なデータを提供いただくにもデータとは何か一から説明が必要なことも多くありました。
 1社ずつに電話をかけて問題を解消していく作業はとても骨が折れるものでしたが、この経験を経て、一層、ヨグネットの目的である「ご当地ヨーグルトの魅力をアピールする」ことの重要性を確信しました。なぜなら、中小乳業メーカーでは魅力的な製品が作られているにもかかわらず、人員の都合でプロモーションの幅に制限がかかっていたのです。小規模であるが故に職員の追加採用が難しかったり、製造との兼務でとても手が回らなかったりとローカルビジネスとしては成り立っていても、コロナ禍での観光客の激減や学校給食の中断など有事の際に逃げ道となる販売チャネルがなく、大打撃を受けた話なども聞こえてきました。
 ヨグネットとして共同プロジェクトを遂行することで、社内で不足していたデジタル環境の知識やプロモーションに必要な素材などが明らかとなり、少しずつ足並みが揃っていく手応えがありました。もちろんメーカーだけに努力を求めていては負担が大き過ぎるので、ヨグネットとしてもLINEなど一般的に使い慣れているであろう通信ツールを必要に応じて取り入れ、連絡手段はなるべく簡略化させました(写真11)。一度提出されたご当地ヨーグルトの商材である画像やテキスト素材はヨグネットでストックし、ポスターやポップなどのデータもテンプレート化させることで以後の作業をスムーズにできるようにし、着実に業務のパッケージ化を進めました。

12 FOOD展の成果

 こうして無事に実現にこぎつけたFOOD展への出展では、日本各地の中小乳業メーカー27社が集結してポスター展示、うち17社による試食提供、うち3社によるリモート説明会を行い、ご当地ヨーグルトの魅力を複合的に訴求することができました(写真12〜15)。私は講演会の場に立ち、試食提供中のヨーグルトを例に取り上げながら、ご当地ヨーグルトの歴史や魅力、今後の課題についてお話しさせていただきました。
 冷蔵ショーケースに並んだ個性豊かなパッケージは多くの来場者の興味を引き、各社のヨーグルトを食べ比べることで、同じプレーンヨーグルトでも明確に味わいに違いがあることに驚く方が多かったことが印象的でした。
 また、可能な中小乳業メーカーは実際に現場に立って試食提供を行いました。商品へのこだわりを自社の言葉で伝え、来場者から直接フィードバックを得ることで、商品への愛情ややりがいが深まったと話してくださいました。オンラインだけでつながっていたメーカー同士がリアルで対面できたことにも大きな感動があり、現場で得た経験はかけがえのないものとなりました。
 その一方で、新たな課題も生まれました。原料にこだわったご当地ヨーグルトは「生乳100%」が当たり前で、大手乳業メーカーの商品と差別化するために付けられたキャッチコピーでは似た内容ばかりとなってしまい、同じ棚の中では全く役に立ちませんでした。ご当地ヨーグルトのカテゴリー訴求を強めていこうと取り組む中で、ご当地ヨーグルト同士それぞれの個性をどのように表現していくかが次の課題です。生乳の特徴をより詳細に生かすのか、あるいは地域性を訴求するのか、ご当地ヨーグルトの進化の過程をヨグネットチームの一員として見届けられるのは、マニア冥利に尽きます。







13 おわりに〜ヨグネットの今後について〜

 中小乳業メーカーを主体に構成されるヨグネットは、その後、児玉尚子氏と有限会社アリマン乳業 代表取締役 三浦 崇氏を中心メンバーに迎え、研究者や関連企業の助けを得ながら、ご当地ヨーグルトのプロモーション業務に励んでいます。主な活動はSNSでの発信、イベント出展、オンラインショップの運営、そして最終的にはヨーグルトサミットの定期開催が可能な組織力を持った運営母体になることが目標です。
 ご当地ヨーグルトの最大の魅力である「生乳」の価値理解を深めることが、現在深刻な問題となっている酪農家の方々の経営状況の改善にもつながることを心から願っています。