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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2023年7月号

供給頭数の減少などを背景に、肥育牛価格は高水準で推移

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23年4月の牛肉生産量、と畜頭数の減少などから前年同月比11.1%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年4月の牛と畜頭数は249万3000頭(前年同月比9.6%減)とかなりの程度減少した(図1)。22年後半以降干ばつの状況がテキサス州やカンザス州など南部を除き改善傾向にあるほか、1頭当たり枝肉重量の減少もあり、同月の牛肉生産量は93万9000トン(同11.1%減)とかなり大きく減少した(図2)。この結果、23年1〜4月の累計でも403万3000トンと前年同期を4.9%下回った。




 
供給のひっ迫から、肥育牛価格は高騰が続く
 USDA/NASSによると、2023年5月のフィードロット飼養頭数は1160万8000頭(前年同月比3.0%減)とやや減少した。肥育牛の供給ひっ迫が続く中で、需要は堅調であることから、23年4月の肥育牛価格は100ポンド当たり178.22米ドル(1キログラム当たり553円:1米ドル=140.77円(注)、同24.6%高)と大幅に上昇した(図3)。今後も夏場に向けた季節的な牛肉需要の増加などにより、同価格は高水準で推移すると予測される。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年5月末TTS相場。

 
23年第1四半期の牛肉輸出量、前年同期比7.9%減
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年3月の牛肉輸出量は12万9591トン(前年同月比5.9%減)とやや減少し、同年第1四半期(1〜3月)累計では、35万3386トン(前年同期比7.9%減)とかなりの程度減少した(表)。第1四半期の輸出量を輸出先別に見ると、第1位の日本向けが前年同期比0.2%増と前年同期並みとなった一方、続く韓国向けが7万9568トン(同16.0%減)、中国向けが5万6469トン(同14.4%減)とそれぞれ前年同期を大きく下回った。また、メキシコ向けは、現地通貨のペソ高と観光需要の高まりを背景に、3万5183トン(同17.8%増)と大幅に増加しており、今後もこの傾向が続くと予測される。
 USDAによると、23年の牛肉輸出量は減産の影響や価格高を要因に前年比8.8%減の146万2000トンと見込まれる。

 
(調査情報部 伊藤 瑞基)