23年1〜3月の牛肉生産量、前年同期比5.1%増
中国国家統計局によると、2022年の牛肉生産量は飼養頭数の増加などから前年比2.9%増の718万トンとなった(図1)。また、23年1〜3月期の牛肉生産量は、前年同期比5.1%増の180万トンとなった。
23年の牛肉生産量について中国農業農村部は、同年4月に公表した「中国農業展望報告(2023―32)」(以下「展望報告」という)の中で、飼養頭数の増加などにより729万トン(前年比1.5%増)と見込んでいる。
牛肉価格は高値ながらも下落傾向
牛肉の卸売価格は、需要の拡大や飼料価格高騰などの影響で、2019年後半以降高値で推移していたが、23年に入ってからは緩やかに下落し、同年5月には1キログラム当たり74.5元(1491円:1元=20.01円
(注1))となった(図2)。
牛肉価格について展望報告では、消費が徐々に回復し需給がタイトな状況に向かうことなどから引き続き高値で推移すると見込んでいる。他方で、豚肉価格が下落しつつあることなどから、大幅に高騰する可能性は低く、(豚肉の価格動向に応じて)季節的に変動するとしている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年5月末TTS相場。
冷凍牛肉輸入量は引き続き好調に推移
中国の牛肉輸入量は、牛肉生産量が増加基調にある一方、高まる需要に追い付かず、増加傾向で推移してきた。2022年の牛肉輸入量を見ると、輸入の大部分を占める冷凍牛肉は、263万7826トン(前年比15.7%増)とかなり大きく増加した(表1)。一方、冷蔵牛肉の輸入量は、同年11月までは前年同期を上回る勢いで推移していたが(前年同期比6.3%増)、例年輸入量が多い12月の落ち込みが影響した結果、5万2121トン(同2.7%減)とわずかに減少した(表2、図3)。23年1〜4月もこの傾向が続いており、冷凍牛肉は前年同期比16.8%増と大幅に増加した一方、冷蔵牛肉は同5.1%減とやや減少した。
牛肉輸入量について展望報告では、輸入牛肉は価格優位性があることなどから23年も引き続き増加する(前年比3.0%増)と見込んでいる。これに対し米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は4月、消費量は増加するものの輸入量は横ばい(同0.1%減)とするレポートを公表している。
(調査情報部 阿南 小有里)