23年の鶏肉生産量はわずかに増加見込み
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2022年の米国の鶏肉生産量は、処理羽数(前年比2.4%増)、1羽当たり生体重量(同0.4%増)がともに増加したことで、2095万9000トン(同2.9%増)となった(表1)。
また、23年4月の鶏肉生産量は、処理羽数の減少により160万8000トン(前年同月比0.6%減)となったものの、1〜4月の累計では、684万6000トン(前年同期比2.4%増)とわずかに増加している。23年の鶏肉生産量についてUSDAは、3月時点の親鶏の飼養羽数が増加していることを踏まえ、前年比1.8%増の2134万1000トンと見込んでいる。
23年4月の卸売価格は前年比大幅安も依然高水準
USDA/ERSによると、2023年4月の鶏肉卸売価格は1ポンド当たり1.40米ドル(1キログラム当たり434.48円:1米ドル=140.77円
(注)、前年同月比16.0%安)となり、昨年の価格高騰時からは低下したものの、引き続き高値で推移している(図1)。
23年4月の鶏肉の期末在庫量を見ると、35万9610トン(同8.5%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図2)。USDAは、在庫水準は高いながらも需要が堅調であることから、鶏肉卸売価格は安定しているとしている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年5月末のTTS相場。
23年3月の鶏肉輸出量は減少も、同年の輸出予測を上方修正
USDA/ERSによると、2023年3月の鶏肉輸出量は28万7146トン(前年同月比3.2%減)と前年同月をやや下回った(表2)。主要輸出先のメキシコ向け(同5.5%増)、台湾向け(同52.2%増)、中国向け(同9.3%増)は増加したものの、キューバ向け(同37.5%減)、フィリピン向け(同17.8%減)、カナダ向け(同29.5%減)などの減少が影響した。
しかし、23年第1四半期(1〜3月)の輸出量では、1月の輸出が好調だったことから、前年同期比2.5%増となっている。23年の鶏肉輸出量の予測についてUSDAは、同年後半の鶏肉生産量の増加が見込まれることから、前年比1.4%増の334万9000トンと上方修正している。
(調査情報部 上村 照子)