23年4月の生乳取引価格、4カ月連続で下落
欧州委員会によると、2023年4月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり48.83ユーロ(7400円:1ユーロ=151.54円
(注1)、前年同月比5.6%高)となった(図1)。同価格は前年同月をやや上回るなど依然として高水準にあるものの、前月比では1.6%安となり、乳製品価格の下落を背景に4カ月連続で前月を下回った。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年5月末TTS相場。
23年第1四半期の生乳出荷量、増加ながらも伸びは鈍化
欧州委員会によると、2023年3月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1280万9280トン(前年同月比0.7%増)とわずかに増加した(表)。主要生産国別に見ると、ドイツ(同2.1%増)、オランダ(同3.3%増)、イタリア(同1.6%増)、ポーランド(同1.5%増)が前年同月を上回った一方で、フランス(同3.0%減)は4カ月連続で前年同月を下回った。
また、23年第1四半期(1〜3月)の生乳出荷量は、前年同期比0.9%増の3574万2780トンとわずかに増加した(図2)。直近22年第4四半期(10〜12月)の増加率(同1.6%増)との比較では、出荷の伸びが鈍化している。この要因として、(1)23年に入り乳価が下落傾向で推移していること(2)3月に一部の地域で気温が平年を下回り牧草の生育が十分でなかったこと(3)スペインを中心としたイベリア半島で干ばつが観測されていること−が挙げられる。
23年5月の乳製品価格は前年同月を下回る
欧州委員会によると、2023年第1四半期の乳製品生産量は、脱脂粉乳が34万7700トン(前年同期比4.9%増)、バターが52万8600トン(同3.0%増)、チーズが230万3900トン(同0.7%増)とそれぞれ増加した。これは、生乳生産量の増加に加え、同期の乳脂肪分含有量(4.20%、同0.04ポイント増)および乳タンパク質含有量(3.46%、同0.03ポイント増)の増加によるものとされている。一方、直近の23年5月28日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、高値による需要の減退からすべての乳製品において、前年同期比で大きく下落しているものの、前週比では横ばいもしくは上昇が見られ、現地報道によると、価格の下落に伴い輸出需要が発生しているという。品目別では、バターが100キログラム当たり474ユーロ(7万1830円、同34.5%安)、脱脂粉乳が同248ユーロ(3万7582円、同38.6%安)、全粉乳が同349ユーロ(5万2887円、同31.4%安)、チーズ(チェダー)が同359ユーロ(5万4403円、同15.6%安)、ホエイが同75ユーロ(1万1366円、同44.2%安)となった(図3)。
(調査情報部 上村 照子)