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海外需給動向【牛乳・乳製品 中国】畜産の情報 2023年7月号

生乳生産量増加も乳価の下落止まらず

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生乳生産量、前年同期比8.5%増
 中国国家統計局によると、2023年1〜3月の生乳生産量は、前年同期比8.5%増の834万トンとなった(図1)。
 23年の生乳等生産量(注1)について中国農業農村部は、4月に公表した「中国農業展望報告(202332)」(以下「展望報告」という)の中で、飼養管理の効率化などにより酪農の競争力強化が進む結果、4227万トン(前年比5.0%増)と見込んでいる。これに対し米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は5月、高泌乳牛の増加や飼養管理技術の向上などから同生産量を4218万トン(うち生乳は4100万トン:同4.3%増)とするレポートを公表している。

(注1)牛由来の生乳のほか、ヤクやヤギなど由来の乳を含む生産量。展望報告では、生乳のみの生産量見込みは示されていない。
 

 
生乳価格の下落止まらず
 中国の生乳価格は、2021年9月以降緩やかな下落傾向で推移しており、23年5月には1キログラム当たり3.88元(78円:1元=20.01円(注2))となった(図2)。
 この要因について現地専門家からは、(1)国内の生乳生産量が増加していている一方、(2)COVID−19の拡大やゼロコロナ政策に起因する需要減退からの回復が進んでいないこと、さらに(3)これまで乳業各社は、生乳を保存性の高い粉乳に加工することで需給調整を図ってきたが、吸収余力が限界を迎えたこと−が挙げられた。
 23年の生乳価格について展望報告では、需要が緩やかに回復していることなどから、現在の下落傾向は緩和されると見込んでいる。

(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年5月末TTS相場。

 
乳製品輸入量は4品目で減少傾向継続
 2023年1〜4月の主要乳製品8品目の輸入量は、半数となる4品目で減少した(表)。このうち、最も減少幅が大きかった全粉乳については、通例であれば年間輸入量の2〜3割程度が輸入される1月の実績が大幅に少なかったこと(前年同月比79.8%減)が響いたとみられる(注3)(図3)。
 同年の乳製品輸入量について展望報告では、国内の生産・在庫量の増加から粉乳の輸入量は減少するものの、国際価格の下落が見込まれることで飲用乳とヨーグルトの輸入量が増加し、前年比増で推移すると見込んでいる。

(注3)減少要因など詳細は、『畜産の情報』2023年5月号「乳製品需給の緩和から乳価の下落傾向強まる」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002712.html)を参照されたい。



 
(調査情報部 阿南 小有里)