米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年5月12日、23/24年度最初の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億1963万トン(前年度比6.0%増)と前年度をかなりの程度上回り、過去最高値が見込まれている。地域別に見ると、ウクライナやブラジルなどは前年度から減少するものの、ブラジルの減少幅はわずかとなり高水準を保つと見込まれている。一方、米国やアルゼンチンなどは前年度から増加に転じ、特に、干ばつなどの影響を受けて22/23年度の生産量が減少したアルゼンチンは、5400万トン(同45.9%増)と前年度から大幅な増加が見込まれている。
輸入量は、世界全体で1億8450万トン(同5.2%増)と前年度からやや増加が見込まれている。地域別に見ると、中国のほかエジプトやベトナムなどの増加が見込まれている。米国やブラジルなど主要輸出地域からの豊富な供給が予測される中、世界的なトウモロコシ価格の下落も予想されていることから、多くの地域で輸入量が増加するとみられている。
消費量は、世界全体で12億414万トン(同3.7%増)と前年度からやや増加し、過去最高値が見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国は3億400万トン(同1.7%増)とわずかに増加するほか、トウモロコシ価格の下落が飼料用の需要を促進することから、多くの地域で消費量が増加すると見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億9526万トン(同11.3%増)と前年度からかなり大きな増加が見込まれている。地域別に見ると、増産が見込まれる米国は5334万トン(同18.3%増)と前年度から大幅な増加が、また、ブラジルは減産ながらも5500万トン(同3.8%増)とやや増加が見込まれており、前年度に引き続きブラジルが世界最大の輸出国となると見込まれている。
この結果、期末在庫は3億1290万トン(同5.2%増)と前年度からやや増加すると見込まれている。
今回の予測は、過去の傾向に基づく平年並みの作付け状況と好天下における生育を前提に想定されているため、今後の状況に注視する必要がある。
(調査情報部 針ヶ谷 敦子)