生産量
令和5年5月の牛肉生産量は、2万7295トン(前年同月比2.1%増)と前年同月をわずかに上回った(図1)。品種別では、和牛は1万2800トン(同3.2%増)とやや、交雑種は7520トン(同6.0%増)とかなりの程度、いずれも前年同月を上回った一方、乳用種は6616トン(同2.3%減)と前年同月をわずかに下回った。
なお、過去5カ年の5月の平均生産量との比較では、5.4%増とやや上回る結果となった。
輸入量
5月の輸入量は、冷蔵品は、需要が低迷する中、豪州産輸入量が少なく、米国産輸入量は現地価格の高騰もあり少なかったことなどから、1万6092トン(同21.5%減)と前年同月を大幅に下回った(図2)。冷凍品は、前年同月の米国産輸入量が少なかったことに加え、生産量の増加から豪州産輸入量が多かったことなどから、3万291トン(同20.0%増)と前年同月を大幅に上回った(図3)。この結果、全体では4万6459トン(同1.5%増)と前年同月をわずかに上回った。
なお、過去5カ年の5月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は27.9%減と大幅に下回った一方、冷凍品は11.1%増とかなり大きく上回る結果となった。
家計消費量等
5月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は179グラム(同6.0%減)と前年同月をかなりの程度下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の5月の平均消費量との比較では、11.3%減とかなり大きく下回る結果となった。
5月は、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)が5類へと移行し、COVID−19による行動制限がなくなり、ゴールデンウィーク後半の月初から店内飲食の好調が続いた(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。外食産業全体の売上高は、帰省客、国内観光客、インバウンドともに消費が旺盛であったことなどから、前年同月比で11.8%増とかなり大きく上回った。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、休日数が前年同月よりも1日少ないことや相次ぐ価格改定などにより利用客数にマイナスの影響があったものの、客単価の増加により売り上げは堅調を維持し、同8.9%増と前年同月をかなりの程度上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風は、COVID−19の5類移行によるビルイン型店舗の店内飲食の回復などがあり、同14.0%増と前年同月をかなり大きく上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、人手不足により営業時間の短縮を余儀なくされているところもあるものの、月間の客足は好調であり、同10.6%増と前年同月をかなりの程度上回った。
推定期末在庫・推定出回り量
5月の推定期末在庫は、16万569トン(同22.7%増)と前年同月を大幅に上回った(図4)。前年同月比で21カ月連続の増加となった。このうち、輸入品は14万8317トン(同25.4%増)と前年同月を大幅に上回った。
推定出回り量は、7万2778トン(同8.4%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図5)。このうち、国産品は2万6851トン(同5.4%増)とやや、輸入品は4万5926トン(同10.3%増)とかなりの程度、いずれも前年同月を上回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)