量販店および食肉専門店における店頭での食肉販売拡大のための対応について、選択式で回答してもらったところ、以下の通りの結果となった。
(1)量販店
牛肉では、1位(最多)が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」、2位が「時短・簡便商品の取り扱いを増やす」、3位が「低級部位や切り落としを増やす」となった(図13)。
豚肉では、1位が「時短・簡便商品の取り扱いを増やす」、2位が「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」、3位が「低級部位や切り落としを増やす」となった。
鶏肉では、1位が「時短・簡便商品の取り扱いを増やす」、2位が「保存性の高い冷凍タイプの商品の品揃えを増やす」および「持続可能性(環境など)に配慮した商品の取り扱いを増やす」となった。
豚肉および鶏肉において、「時短・簡便商品の取り扱いを増やす」の回答が100%であり、COVID−19の影響による内食需要の高止まりなども一つの要因として、時短・簡便商品の取扱量の増加による販売拡大への取り組みが見られる。
具体的な対応としては、「簡便・時短商品については時短=節約(ガス・電気・水道使用料が少なくて済む)といった観点で提案していく」「カット済商品、時短商品、味付商品などの簡便商品の販売を強化する」「フローズン商品の品揃えを拡大する」「JGAP認証やPB原料などの差別化原料の使用拡大」「値上げなど今後も景気は厳しい状況であるため、安価な豚肉、鶏肉の拡販を図る」「単純な値上げでは消費者も離れる恐れがある。それに対応するために、ブランドやPB、こだわりなどによる付加価値を付ける」「消費者の赤身志向に伴い赤身肉を強化」などが挙げられた。また、持続可能性への配慮として、「トレー商品の縮小」「販売ロスの削減」なども挙げられた。
(2)食肉専門店
牛肉では、1位(最多)が「差別化商品の取り扱いを増やす」、2位が「低級部位や切り落としを増やす」「総菜や味付け肉の強化」となった(図14)。
豚肉では、1位が「総菜や味付け肉の強化」、2位が「低級部位や切り落としを増やす」、3位が「差別化商品の取り扱いを増やす」となった。
鶏肉では、1位が「総菜や味付け肉の強化」、2位が「差別化商品の取り扱いを増やす」、「特定の年齢層・家族形態を対象とした商品の品揃え強化」となった。
具体的な対応としては、「経産牛の取り扱いを増やし、味や赤身を評価してもらえるように発信をしていく」「ブランド豚など他店では取り扱っていない商品を多く取り扱う」「対面販売の強みを生かす。牛肉はブロック肉を陳列して、カットの要望に応えるスタイルを導入する」「焼肉盛り合わせ、すき焼き盛り合わせなど単価の高い商品開発を強化する」「仕入価格の相場に左右されることなく、自店のブランドを強化する」「食品ロスを減らすため、総菜を増やす。少量パックも充実させたい」「仕入価格の上昇に対応するために、自家製惣菜を増やす」「冷凍で販売できる惣菜(焼くだけ、揚げるだけ)などの簡便商品の販売を強化する」「子供向けワークショップなどイベントを通して消費を喚起する」などが挙げられた。