23年6月のフィードロット飼養頭数は前年同月比2.9%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年5月のフィードロット導入頭数は196万頭(前年同月比4.6%増)とやや増加し、出荷頭数は195万頭(同1.7%増)とわずかに増加した。この結果、23年6月1日時点のフィードロット飼養頭数は1155万2000頭(同2.9%減)と前年同月からわずかに減少し、前月比では0.5%減となった(図1)。導入頭数は事前の予測を上回っており、これは、一部地域における干ばつの影響による未経産牛の導入が増加したことなどによるものとみられる。
23年1〜5月の牛肉生産量は前年同期比3.8%減、肥育牛価格は高騰続く
USDA/NASSによると、2023年5月の牛肉生産量は104万6000トン(前年同月比0.8%増)となった(図2)。同年4月はと畜頭数の減少から生産量は同11.1%減とかなり大きく減少したが、5月はと畜頭数が増加(同1.0%増)したことで、生産量はわずかに増えた。ただし、同年1〜5月の累計では前年同期比3.8%減の507万9000トンとなり、依然として前年を下回っている。
また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、23年5月の肥育牛価格は前年同月比22.9%高の100ポンド当たり176.50米ドル(1キログラム当たり568.07円:1米ドル=145.99円
(注))となり、ひっ迫傾向にある牛肉需給を反映し高水準で推移している(図3)。今後の肥育牛価格についてUSDAは、夏場のバーベキューシーズンを控えて牛肉需要がさらに高まることから引き続き高値で推移するとしている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年6月末TTS相場。
23年4月の牛肉輸出量、前年同月比12.0%減
USDA/ERSによると、2023年4月の牛肉輸出量は12万1384トン(前年同月比12.0%減)となり、韓国、メキシコ、香港向けが増加したが、日本、中国、カナダ、台湾向けの減少がそれを上回ったため、全体ではかなり大きく減少した(表)。また、同年1〜4月の累計では47万4770トン(前年同期比9.0%減)とかなりの程度減少となった。
4月の輸出量を主要輸出先別に見ると、韓国向けが3万944トン(前年同月比7.6%増)で首位となった。これについて米国食肉輸出連合会(USMEF)は、韓国国内のインフレの緩和を要因に挙げており、同国の牛肉需要の見通しは明るいとしている。また、第4位のメキシコ向けは、ペソ高と好調な外食需要に支えられ9842トン(同5.6%増)、同年1〜4月累計でも4万5024トン(前年同期比14.9%増)と堅調に推移している。
(調査情報部 上村 照子)