23年5月の豚肉生産量、前年同月比4.1%増
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年6月1日時点の豚総飼養頭数は7239万頭(前年比0.1%増)と前年並みであった(表1)。内訳を見ると、繁殖豚が同0.4%減の615万頭、肥育豚が同0.2%増の6625万頭となった。また、23年5月の豚肉生産量は、1頭当たり枝肉重量が飼料コスト高の影響で前年同月を下回ったものの、と畜頭数の増加により103万トン(前年同月比4.1%増)とやや増加した(図1)。USDAによると、23年後半にかけてトウモロコシ価格の軟化に伴う1頭当たり枝肉重量の増加などにより、同年の豚肉生産量は前年比1.4%増の1242万トンと見込まれている。
23年5月の豚肉卸売価格および肥育豚価格、前年を大幅に下回る
USDAによると、2023年5月の豚肉卸売価格は、100ポンド当たり82.63米ドル(1キログラム当たり265.95円:1米ドル=145.99円
(注)、前年同月比20.9%安)と前年同月を大幅に下回った(図2)。23年1月以降の豚肉卸売価格は、在庫増加や国内の需要減退により、前年を大幅に下回り推移している。また、同月の肥育豚価格も、100ポンド当たり55.35米ドル(同178.15円、同25.3%安)と前年同月を大幅に下回っており、USDAは、豚肉生産量の増加が見込まれる中で、同価格は軟調に推移すると分析している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年6月末TTS相場。
23年1〜4月の豚肉輸出量、多くの輸出先で前年同期を上回る
USDAによると、2023年4月の豚肉輸出量は26万3400トン(前年同月比9.8%増)、23年1〜4月の累計では102万トン(前年同期比8.7%増)といずれもかなりの程度増加した(表2)。1〜4月の輸出量を輸出先別に見ると、競合するEU産豚肉が価格の高騰から輸出量を減らしていることなどを背景に、多くの輸出先で前年同期を上回った。USDAによると、この傾向が続くとみられることから、23年の豚肉輸出量を前年比7.3%増の308万トンと見込んでいる。
(調査情報部 伊藤 瑞基)