23年1〜5月の豚と畜頭数、前年同期比0.6%減
カナダ農務・農産食品省(AAFC)によると、2023年5月の豚と畜頭数は168万頭(前年同月比1.2%増)とわずかに増加したものの、23年1〜5月の累計では、892万頭(前年同期比0.6%減)とわずかに減少した(図1)。現地情報によると、カナダ東部(オンタリオ州やケベック州など)では、労働者不足や稼働コストの上昇などを背景に、大手パッカーの一部施設が操業停止になるなど、と畜能力の低下が続いている。米国農務省(USDA)によると、と畜能力の低下により、生産者が母豚頭数を減少させているなどで、23年の豚肉生産量は200万トン(前年比4.1%減)と前年を下回ると見込まれている。
23年1〜5月の平均肥育豚価格、前年同期比安も過去5カ年平均を上回る
AAFCによると、2023年1〜5月の平均肥育豚価格は100キログラム当たり220カナダドル(2万4407円:1カナダドル=110.94円
(注)、前年同期比8.1%安)とかなりの程度下落した(図2)。ただし、過去5カ年平均価格比では7.2%高となっている。これは、23年の豚肉生産量の減少が見込まれる中、堅調な国内需要を反映したものとみられる。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年6月末TTS相場。
23年1〜4月の豚肉輸出量、中国、韓国向けが増加
カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2023年4月の豚肉輸出量は8万900トン(前年同月比10.6%減)、23年1〜4月の累計では33万3400トン(前年同期比13.2%減)と、いずれもかなりの程度減少した(表)。同期を輸出先別に見ると、最大の輸出先である米国向けは、同国内の需要低迷により9万8200トン(同17.4%減)、日本向けも4万9700トン(同26.9%減)と、いずれも大幅に減少した。一方、中国向けは、旺盛な小売・観光需要などから6万3200トン(同30.9%増)と大幅に増加している。また、韓国向けも外食需要の増加などで1万6700トン(同5.6%増)とやや増加した。USDAによると、23年の豚肉輸出量は減産により前年から約5%減少すると見込まれている。
豚肉輸入量については、堅調な国内需要から23年1〜4月の累計で5万4200トン(同18.8%増)と大幅に増加した。
(調査情報部 伊藤 瑞基)