23年4月末の繁殖雌豚頭数、引き続き減少傾向も基準頭数は上回る
中国農業農村部によると、2023年4月末時点の繁殖雌豚頭数は4284万頭(前年同月比2.6%増)と前年同月をわずかに上回ったが、前月比では0.5%減と減少傾向にある(図1)。同月末時点の繁殖雌豚頭数は、同部が最適な水準としている4100万頭程度から4.5%上回っている状況にあるが、22年12月と比較するとこの水準に近づいている。
23年4月の豚と畜頭数、前年をやや上回る
2023年4月の中国国内の豚と畜頭数は、2863万頭(前年同月比4.6%増)と前年をやや上回った(図2)。現地報道によると、連休需要(メーデーに関する連休:4月29日〜5月3日)が増加の要因に挙げられている。また、気温の上昇に伴い脂肪分の少ない豚肉が好まれるため、大型の肥育豚需要は低く、生産者からの出荷の先延ばしや二次肥育
(注1)が減少するなど、早期出荷傾向の強まりから出荷体重は減少傾向にあるとされる。さらに、特に南部地域では、多雨により疾病リスクが高まっていることも、早期出荷の一因になっているとみられる。
(注1)出荷適正体重となった肥育豚を購入して再肥育し、通常の出荷体重以上に増体させること。生体豚価格の上昇が見込まれる場合に実施されることが多い。
23年5月の豚肉価格、引き続き低水準で推移
豚肉価格は2022年11月から下落に転じており、23年5月は前月比2.0%安の1キログラム当たり24.3元(492円:1元=20.24円
(注2))となった(図3)。同価格が低水準で推移する中、メーデー休暇の前後は多少、堅調な値動きを見せたものの、5月中旬以降は再度下落基調で推移している。
一方で子豚価格は23年2月に底を打って上昇に転じ、5月は同0.9%安の同36.6元(741円)となった。例年5月前後は、豚肉需要が旺盛となる11〜12月ごろの出荷に向けた子豚の導入が進む時期であり、今回の上昇も季節的要因とみられるが、豚肉価格の低迷が続く中で肥育業者による子豚の導入気運はあまり高まらず、5月半ば以降は再度下落基調となっている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年6月末TTS相場。
23年1〜5月の豚肉輸入量、前年同期を上回る
2023年1〜5月の豚肉輸入量は、80万4746トン(前年同期比19.0%増)と前年同期を大幅に上回った(表)。この背景として、22年末の国内豚肉価格高やCOVID−19に関連した規制の緩和などにより、23年1月を中心に輸入が一時的に加速したことが反映されている。輸入先別に見ると、欧州では比較的安価であったオランダ産が7万321トン(同63.5%増)と前年同期を大幅に上回ったほか、ブラジル、カナダおよび米国がそれぞれ3割を超す伸び幅となっている。中国農業展望報告(2023−2032)によると、23年の豚肉輸入量は国際的なサプライチェーン、国内外食産業、加工製品需要の回復などから約200万トン程度と前年を上回ることが予測されている。
(調査情報部 海老沼 一出)