23年5月の生乳生産量、1年半ぶりに前年同月比増
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2023年5月の生乳生産量は62万4041キロリットル(64万2763トン相当、前年同月比1.6%増)と1年半ぶりに前年同月を上回った(図1)。これは、前年同月の生乳生産量が、5月としては過去10年間で最も少なかったことも影響しているが、前年の長雨や洪水被害からの回復に加え、多くの地域で好天に恵まれたことが要因とみられる。
しかし、22/23年度の累計生乳生産量(22年7月〜23年5月)は、前月までの減少が響いて、756万1898キロリットル(778万8755トン相当、前年同期比5.3%減)となった。同年度の生乳生産量についてDAは、22年末に公表した見通しと変わらず、21/22年度比4〜6%減(804万〜821万キロリットル、828万〜846万トン相当)になると見込んでいる。
23/24年度の生産者支払乳価、引き続き高値での幕開け
2022/23年度(7月〜翌6月)の生産者支払乳価は、生乳生産量が減少する中で乳業各社による乳量確保の動きから、生乳の固形分
(注1)1キログラム当たり9豪ドル(880円:1豪ドル=97.77円
(注2))以上を提示するなど歴史的な高値となったが
(注3)、23/24年度の同乳価についても引き続き高い水準となっている。
23年6月1日に公表された23/24年度の生産者支払乳価は、酪農家らの期待に反して同8豪ドル(782円)後半を提示する乳業が大半を占めていた
(注4)。しかしながら、生産者団体などが相次いで失望を表明した結果、一定の乳量を確保したい乳業各社がそれに呼応するよう迅速な引き上げを行ったため、豪州農業系金融機関ルーラルバンクによると、6月13日時点で平均同9豪ドル台を超えたとされる。一方で今後の見通しとして、乳製品国際価格の動向から、さらなる価格上昇の余地は少ないとしている。
(注1)乳脂肪分および乳タンパク質。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年6月末TTS相場。
(注3)『畜産の情報』2023年4月号「生乳生産量、30年ぶりの800万キロリットル台割れの懸念」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002669.html)を参照されたい。
(注4)海外情報「2023/24年度当初乳価引き下げで酪農家が反発(豪州)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003545.html)を参照されたい。
23年4月の主要乳製品輸出量、全品目で大幅減
DAが発表した2023年4月の主要乳製品4品目の輸出量は、全品目で前年同月から大幅に減少した(表、図2)。これらの減少要因は、いずれも、中国をはじめとしたアジア向け輸出の不振にあるとみられる。
(調査情報部 阿南 小有里)