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海外需給動向【飼料穀物/中国】畜産の情報 2023年8月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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国産トウモロコシ価格、需要の低下から弱含みでの推移と予想
 中国農業農村部は6月19日、「農産物需給動向分析月報(2023年5月)」を公表した。この中で、2023年5月の国産トウモロコシ価格は、年明け以降4カ月連続での下落となった(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、供給面では、トウモロコシ主産地の一つである北部地域で小麦の収穫が開始されたことで、貯蔵庫を確保するためにトウモロコシへの出荷圧力が増している。また、在庫を抱えた流通業者では、今後のトウモロコシ価格の下落を見越して販売意欲が高まっているとされている。一方、需要面では、トウモロコシの実需者である養豚企業の収益性が、国内の豚肉価格の低迷を受けて依然として悪化していることで、飼料需要の伸び悩みが続いている。このため、国産トウモロコシ価格は、短期的には弱含みでの推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、23年5月が1キログラム当たり2.50元(51円:1元=20.24円(注))となった。国産価格を上回って推移していた輸入トウモロコシ価格は22年3月以降、国産価格を下回って推移している。また、国産と輸入との価格差は、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.72元(55円)となったことで同0.22元(4円)に広がった。


 
国産大豆価格、需要の低下から弱含みでの推移と予想
 2023年5月の国産大豆価格は、トウモロコシと同様に下落が続いている(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、供給面では、国家備蓄在庫の放出が続いており、また、市場滞留在庫の売却や輸入大豆の入荷が続く中で潤沢な状況とされている。一方、需要面では、主産地の一つである黒竜江省で国家備蓄在庫の買い入れが行われているものの、飼料(大豆かす)需要の低下など川下の動きが比較的弱く、市場取引数量に大きな動きが見られないとされている。このため、国内の大豆価格は、短期的には弱含みでの推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、23年5月が1キログラム当たり5.08元(103円、前年同月比 17.0%安)と大幅に下落している。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.72元(116円、同12.0%安)と同じく下落した。この結果、国産大豆と輸入大豆との価格差は、輸入大豆価格も下落したことで1キログラム当たり0.68元(14円)と前月並みになった。
 国際相場に影響する大豆の輸入量については、前年に比べて高い水準で推移している。23年1〜4月の輸入量は3029万トン(前年同期比6.7%増)、輸入額は世界的な穀物相場高の影響から同13.3%増の202億2700万米ドル(2兆9529億円:1米ドル=145.99円(注))と報告されている。主な輸入先は米国(総輸入量の60.2%)、ブラジル(同30.4%)、アルゼンチン(同4.7%)であった。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年6月末TTS相場。

 
(調査情報部 横田 徹)