生産量
令和5年6月の牛肉生産量は、2万8420トン(前年同月比2.7%増)と前年同月をわずかに上回った(図1)。品種別では、和牛は1万3532トン(同3.2%増)とやや、交雑種は7772トン(同9.2%増)とかなりの程度、いずれも前年同月を上回った一方、乳用種は6718トン(同3.9%減)と前年同月をやや下回った。
なお、過去5カ年の6月の平均生産量との比較では、6.2%増とかなりの程度上回る結果となった。
輸入量
6月の輸入量は、冷蔵品は、国内需要が低迷する中、為替の影響や米国産の現地相場の高騰もあり輸入量が少なかったことなどから、1万6492トン(同27.7%減)と前年同月を大幅に下回った(図2)。冷凍品も、国内在庫量が多い中、為替の影響や現地相場が高水準であることにより主要輸入先である豪州や米国からの輸入量が少ないことなどから、2万7117トン(同22.2%減)と前年同月を大幅に下回った(図3)。この結果、全体でも4万3663トン(同24.3%減)と前年同月を大幅に下回った。
なお、過去5カ年の6月の平均輸入量との比較では、冷蔵品は26.3%減と大幅に、冷凍品は5.3%減とやや、いずれも下回る結果となった。
家計消費量等
6月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)は165グラム(同3.4%増)と前年同月をやや上回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の6月の平均消費量との比較では、7.5%減とかなりの程度下回る結果となった。
6月の外食産業全体の売上高は、5月の新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の5類移行を受けて外食消費がようやく回復基調に入り、インバウンド需要の増加もあり、前年同月比11.8%増とかなり大きく上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態では、ハンバーガー店を含むファーストフードの洋風は、期間限定の新商品が好評で売り上げが堅調であったことなどから、同8.4%増と前年同月をかなりの程度上回った。また、牛丼店を含むファーストフードの和風は、一部でシニア層の店内飲食への戻りなどがあり、同17.9%増と前年同月を大幅に上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、各社で差があるものの、「郊外立地店」の一部は好調を維持したことなどから、同12.4%増と前年同月をかなり大きく上回った。
推定期末在庫・推定出回り量
6月の推定期末在庫は、16万308トン(同12.6%増)と前年同月をかなり大きく上回った(図4)。前年同月比で22カ月連続の増加となった。このうち、輸入品は14万8065トン(同14.2%増)と前年同月をかなり大きく上回った。
推定出回り量は、7万1724トン(同2.1%減)と前年同月をわずかに下回った(図5)。このうち、国産品は2万7808トン(同3.5%増)と前年同月をやや上回った一方、輸入品は4万3915トン(同5.3%減)と前年同月をやや下回った。
(畜産振興部 大内田 一弘)