令和5年7月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり320円(前年同月差115円高)となった(図)。同価格は高病原性鳥インフルエンザ(以下「HPAI」という)の大規模発生による生産量減少の影響などから300円台の高水準で推移しているものの、下落傾向にあり、7月の同価格は前月から29円下落した。
また、7月の日ごとの推移を見ると、3日は、前月の30日から5円下落の340円で始まり、5回の下落を経て31日には295円となり、5年1月30日以来、約6カ月ぶりに200円台となった。高止まりの状況は徐々に緩んでいる傾向にある。
今後の供給量については、HPAI発生農家での防疫措置が完了し、ひなの再導入が進んでおり、供給不足が少しずつ解消しているといわれている。一方、今夏の記録的な高温により採卵鶏の体調や鶏卵の規格が小さくなるなどの心配もあり、供給への影響が懸念される。
需要面は、これまで鶏卵の供給不足や高価格などを理由に多くの外食チェーン店などが卵メニューの提供を休止していたが、供給量の回復に伴い、提供再開の店舗が増えている。
鶏卵は一般的に気温が上がると、消費が減少し需要が落ち着く傾向にあるが、インバウンド需要の回復や旅行などの増加により、外食や観光分野での消費回復に期待したい。
(畜産振興部 生駒 千賀子)