23年6月のと畜頭数、前年同月比4.7%減
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年6月の牛と畜頭数は、飼養頭数が減少する中、284万4000頭(前年同月比4.7%減)とやや減少した(図1)。この結果、同月の牛肉生産量についても105万9000トン(同4.8%減)とやや減少した。
また、USDA/NASSが半年に一度公表する「Cattle」によると、本年7月1日時点の牛総飼養頭数は9590万頭(前年比2.7%減)となり、乳用繁殖雌牛を除いていずれも減少した(表1)。現地報道によると、テキサス州など南部では干ばつが続く中、牛群の再構築に取り組めない農家が多いことが 要因とみられている。
23年6月の肥育牛価格、今年最高値を更新
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年6月の肥育牛価格は100ポンド当たり185.92米ドル(1キログラム当たり581.91円:1米ドル=141.97円(注)、前年同月比30.2%高)となり、肥育牛の供給が減少する中で今年の最高値を更新した(図2)。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年7月末TTS相場。
また、USDA/NASSによると、23年6月のフィードロット導入頭数は168万頭(同2.7%増)とわずかに増加し、出荷頭数は196万頭(同5.0%減)とやや減少した。この結果、本年7月1日時点のフィードロット飼養頭数は1120万4000頭(同1.8%減)と前年同月からわずかに減少したが、減少幅は縮小している(図3)。USDAは、肥育牛価格の上昇や飼料価格の下落が、フィードロットのもと牛導入に拍車をかけており、本年後半にかけてもと牛供給の減少が見込まれるとしている。
23年5月の牛肉輸出量、前年同月比16.5%減
USDA/ERSによると、2023年5月の牛肉輸出量は需給がひっ迫する中で12万1135トン(前年同月比16.5%減)と大幅に減少し、1〜5月の累計では59万5905トン(前年同期比10.8%減)とかなりの程度減少した(表2)。
5月の輸出量を主要輸出先別に見ると、韓国向けが2万9224トン(前年同月比13.5%減)と前月に続き首位を維持した。第2位の日本向けは2万1914トン(同37.3%減)と大幅に減少した。これについてUSDAは、円安の影響により米国産牛肉価格が上昇していることを要因としている。また、23年の輸出量についてUSDAは、145万8000トン(前年比9.3%減)と見込んでいる。
(調査情報部 小林 大祐)