23年の豚肉生産量はわずかに増加と予測
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は7月12日、2023年のメキシコの豚肉需給見通しを発表した。これによると、本年の豚肉生産量は、国内の需要が旺盛な中で156万トン(前年比2.0%増)とわずかに増加することが見込まれている(表1)。また、輸出量は中国向け輸出の減少などにより26万トン(同8.8%減)とかなりの程度減少し、消費量はインフレと物価高が続く中、安価な部位を中心に261万トン(同2.6%増)とわずかに増加が見込まれている。
23年6月の豚生体価格は前年を大幅に下回り推移
メキシコ国家情報市場統合システム(SNIIM)によると、2023年6月の豚枝肉価格は、国内の堅調な需要を反映し前年同月比17.3%高の1キログラム当たり64.50ペソ(610円:1ペソ=9.45円(注))と大幅に上昇したものの、海外での需要は減少する中、22年12月のピーク時からは下落傾向で推移した(図1)。こうした傾向を反映し、同月の生体豚価格は同35.50ペソ(335円)と、同19.1%安になった(図2)。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年7月末TTS相場。
23年1〜5月の豚肉輸出量は大幅に減少
USDA/FASによると、為替相場が米ドルに対してペソ高で推移する中、2023年1〜5月の輸出量は7万6000トン(前年同期比17.3%減)と大幅に減少した(表2)。
輸出先別に見ると、最大の輸出先である日本向けが5万5100トン(同6.6%減)とかなりの程度減少し、米国向けも1万2000トン(同32.6%減)と大幅に減少した。また、22年の輸出実績で3位となった中国向けは、23年に入り輸出は行われていない。現地報道によると、中国国内の豚肉生産の回復に加え、欧州など主要輸出先からの輸入を優先していることを要因としている。
一方、23年1〜5月の輸入量は、51万900トン(前年同期比1.4%増)とわずかに増加した(表3)。輸入先別に見ると、輸入量の9割近くを占める米国は、加工用や小売・外食産業からの需要の高まりにより、44万5100トン(同4.5%増)とやや増加した。なお、同年3月よりブラジルからの輸入も行われているものの、3〜5月の輸入量は3000トンと少量にとどまった。
(調査情報部 小林 大祐)