23年6月の酪農家収益、乳価下落で大幅減
米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、2023年6月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり17.9米ドル(1キログラム当たり56円:1米ドル=141.97円(注1)、前年同月比33.5%安)と前年同月を大幅に下回った(図1)。この結果、飼料費の下落幅を乳価の下落幅が上回ったことにより、同月の酪農マージン(注2)は、同69.4%減の同3.65米ドル(同11.4円)と大幅に減少し、今年最低となった。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2023年7月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補塡が発動される。
23年6月の経産牛飼養頭数は前月比で減少
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年6月の生乳生産量は858万トン(前年同月比0.02%減)、乳用経産牛飼養頭数は940万8000頭(同0.1%減)とともに前年並みとなった(図2、3)。
乳用経産牛飼養頭数は3月以降減少傾向にあるが、現地情報によると、乳価の下落に加え、ハンバーガーなどの加工用の牛肉需要が旺盛であり、昨年の干ばつにより肉用雌牛の淘汰が進んだことで、代替的に乳用経産牛のと畜頭数が増加しているとされている。USDAによると、23年1〜6月の乳用経産牛と畜頭数は、161万9000頭(前年同期比6.5%増)とかなりの程度増加している。
23年5月の乳製品輸出量は全体的に減少も、年後半は増加見込み
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年5月の主要乳製品輸出量はいずれも前年同月を下回った(表)。EU諸国やニュージーランドといった輸出競合国との競争激化や、中国などの需要低迷が要因とみられる。一方、米国乳製品輸出協会(USDEC)によると、メキシコをはじめ中南米向けの輸出が引き続き好調であることや、米国産の価格が輸出競合国に比べて下落傾向にあり、特にチーズなどの価格優位性が増すことで、年後半の輸出量は増加すると見込んでいる。
(調査情報部 小林 大祐)