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海外需給【牛乳・乳製品/EU畜産の情報 2023年9月号

5月の生乳取引価格、2年3カ月ぶりに前年同月を下回る

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23年5月の生乳出荷量、前年同月をわずかに増加
 欧州委員会によると、2023年5月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1336万3290トン(前年同月比1.1%増)とわずかに増加した(図1)。
 出荷量上位3カ国を見ると、首位のドイツ(同2.4%増)および3位のオランダ(同1.9%増)はわずかに増加しているものの、2位のフランスは南部を中心とした干ばつの影響から同3.4%減と6カ月連続で前年同月を下回った(表)。欧州委員会によると、23年に入り乳価の下落が続く中、生産コストは一時期より低下したものの依然高止まりにあることから、夏場以降は経産牛の淘汰とうたが進み、今後EUの生乳生産の伸びは鈍化すると見込まれている(注1)
 
(注1)海外情報「欧州委員会、生乳・乳製品の短期的需給見通しを公表(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003573.html)を参照されたい。
 




23年5月の生乳価格、前年同月比5.2%安
 欧州委員会によると、2023年5月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり45.49ユーロ(7135円:1ユーロ=156.85円(注2)、前年同月比5.2%安)となり、過去5カ年平均に比べて高い水準にはあるものの、2年3カ月ぶりに前年同月を下回った(図2)。同委員会は、乳製品価格が軟調に推移していることから、8月9日時点での6月の同価格はさらに下落し、44.36ユーロ(6958円)と推定している。
 
(注2)三菱UFJ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年7月末TTS相場。

 
23年7月の主要乳製品価格はいずれも前年同期比大幅安
 欧州委員会によると、直近2023年7月16日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり458ユーロ(7万1837円、前年同期比36.4%安)、脱脂粉乳が同240ユーロ(3万7644円、同38.3%安)、全粉乳が同356ユーロ(5万5839円、同30.3%安)、チーズが同358ユーロ(5万6152円、同20.6%安)、ホエイパウダーが同69ユーロ(1万823円、同40.6%安)とすべての品目で前年同期を大幅に下回った(図3)。
 7月に入りホエイパウダーの価格が同70ユーロを下回ったが、これは中国でアフリカ豚熱が発生し同国からの飼料用需要が減少した19年以来の低価格となる。現地情報によると、ホエイパウダーの需要が世界的に低水準になっていることに加え、EU域内の豚飼養頭数の減少から飼料向け需要が落ち込んでいることも価格下落の要因としている。

 
(調査情報部 上村 照子)