23年上期の生乳生産量、前年同期比7.5%増
中国国家統計局によると、2023年上期(1〜6月)の生乳生産量は、前年同期比7.5%増の1794万トンとなった(図1)。
中国の生乳生産量については、例年、下期(7〜12月)が上期に比べて3〜4割程度増加する傾向にある。このため、仮に本年も同様の傾向で推移した場合、下期の生乳生産量は2300万トンを超え、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が23年5月に公表した本年の中国の年間生乳生産量見込みの4100万トンに迫ると見込まれる(注1)。
生乳価格の下落はなお止まらず
中国の生乳価格は、2021年9月以降、緩やかな下落傾向で推移してきたが、23年2月以降は6カ月連続で前月比1%以上の下落を続けている(図2)。同年7月の生乳価格は1キログラム当たり3.76元(75円:1元=20.02円(注2)、前年同月比8.8%安)となった。
この要因について現地専門家は、(1)国内の生乳生産量が増加している一方、(2)COVID-19の拡大やゼロコロナ政策に起因する需要減退からの回復が進んでいないこと、さらに(3)これまで乳業各社が需給調整を図るため保存性の高い粉乳に加工してきたが、この吸収余力が限界を迎えたこと−を挙げている。
23年の生乳価格について中国農業農村部が4月に公表した「中国農業展望報告(2023−32)」によると、需要が緩やかに回復していることなどから、今後上昇に転じると見込まれている。しかし、夏季の需要低迷期を迎えて現時点で上昇の兆しは見られない。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年7月末TTS相場。
乳製品輸入量は引き続き4品目で減少傾向
2023年1〜6月の主要乳製品8品目の輸入量は、半数となる4品目で引き続き前年割れとなった(表)。このうち、最も減少幅が大きい全粉乳は、例年であれば年間輸入量の2〜3割程度が輸入される1月の実績が大幅に少ない(前年同月比79.8%減)ことが影響した(図3)。しかし、5月以降は前年を超える水準で推移しており、現地専門家は、本年1〜6月の全粉乳の輸入価格が前年に比べて安く、国内の外食(還元乳)や加工(製菓・製パン)などの業務需要も回復傾向にあることから、増加傾向が続くとの見解であった。
(調査情報部 平山 宗幸)