米国の減産見込みから大豆期末在庫は下方修正も、前年度比大幅増

　米国農務省世界農業観測ボード（USDA/WAOB）および米国農務省海外農業局（USDA/FAS）は2023年7月12日、23/24年度の世界の大豆需給予測値を更新した（表）。

　これによると、世界の生産量は4億531万トン（前年度比9.6％増）と前月から539万トン下方修正された。このうち、最大の生産国であるブラジルは前月から据え置かれたが、これに続く米国は作付面積の減少予測から571万トン下方修正されたことが影響した。

　輸入量は、世界全体で1億6657万トン（同0.5％増）と前月から325万トン下方修正された。このうち、最大の輸入国である中国は、前年度の輸入増などにより国内在庫が高い水準にあることなどから9900万トン（前年度並み）と前月から100万トン下方修正された。

　消費量（搾油仕向け）は、世界全体で3億3025万トン（同6.1％増）と前月から166万トン下方修正された。このうち、最大の消費国である中国は9500万トン（同4.4％増）と前月から据え置かれた。

　輸出量は、世界全体で1億6929万トン（同0.2％増）と前月から312万トン下方修正された。このうち、最大の輸出国であるブラジルは前月から据え置かれたが、これに続く米国は各国での需要の緩和などを背景に340万トン下方修正された。

　この結果、期末在庫は1億2098万トン（同17.6％増）と前月から236万トン下方修正された。

　今回の米国の作付面積の下方修正は、米国農務省全国農業統計局（USDA/NASS）が6月30日に公表した調査結果に基づいており、トウモロコシ作付面積の増加を受けて大豆は8350万エーカー（3379万ヘクタール^（注））と前月から400万エーカー（162万ヘクタール）下方修正された。単収は前月から据え置かれたが、生産地帯での降雨不足も懸念される中で、引き続き天候が注目されている。

　一方で、中国農業農村部が同日に公表した23/24年度の大豆需給見通しによると、生産量はUSDA予測値を上回る2146万トン、輸入量はこれを下回る9422万トンといずれも前月から据え置かれている。このため、大豆国際相場に影響する同国の需給動向への関心も高まっている。

_{（注）1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。}

（調査情報部　横田　徹）