国産トウモロコシ価格、需要の低下から短期的には弱含みで推移
中国農業農村部は7月25日、「農産物需給動向分析月報(2023年6月)」を公表した。この中で、2023年6月の国産トウモロコシ価格は、4カ月続いた下落に歯止めがかかっている(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、供給面では、トウモロコシ主産地からの出荷が落ち着き、生産者の在庫も底が見えた状況とされている。一方、需要面では、引き続きトウモロコシの実需者である養豚企業の収益性が国内の豚肉価格の低迷を受けて停滞しており、飼料需要の伸び悩みが続いている。このように需給がやや緩む中で、6月の国産トウモロコシ価格が下げ止まった背景には、華北東部および黄海北部地方の一部産地で高温と降雨不足が伝えられたことで、今後のトウモロコシの生育への懸念から市場が反発したことによるものとされている。国産トウモロコシ価格は、飼料需要に回復が見られず、また、輸入トウモロコシの入荷が続くことから、短期的には弱含みでの推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、23年6月が1キログラム当たり2.52元(50円:1元=20.02円(注))となった。また、国産と輸入との価格差は、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.72元(54円)となったことで同0.20元(4円)とわずかに縮まった。
国産大豆価格、加工向け需要の減少から弱含みでの推移と予想
2023年6月の国産大豆価格は、トウモロコシと同じく下落に歯止めがかっている(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、供給面では、産地の在庫は少なく、市場への供給は主に輸入大豆が中心とされている。一方、需要面では、高温多湿となる梅雨が広い範囲で続いていることで、大豆製品の賞味期限が大幅に短縮し、加工向け需要が全体的に減少しているとされている。このため、国内の大豆価格は、短期的には弱含みでの推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、23年6月が1キログラム当たり5.10元(102円、前年同月比16.8%安)と大幅に下落している。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.74元(115円、同11.8%安)と同じく下落した。この結果、国産大豆と輸入大豆との価格差は、前月と変わらず同0.68元(14円)となった。
国際相場に影響する大豆の輸入量については、前年に比べて高い水準で推移し、23年5月は主にブラジルからの輸入となった。同年1〜5月の輸入量は4231万トン(前年同期比11.2%増)、輸入額は世界的な穀物相場高の影響から同13.6%増の274億5200万米ドル(3兆8974億円:1米ドル=141.97円(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の47.6%)、米国(同45.3%)、アルゼンチン(同3.4%)であった。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年7月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)