23年7月の豚肉期末在庫、前年同月をかなりの程度下回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年7月の豚肉生産量は、1頭当たり枝肉重量が夏の高気温や飼料費高騰の影響で前年同月を下回ったものの、と畜頭数の増加により91万トン(前年同月比1.8%増)とわずかに増加した(図1)。また、同月の豚肉期末在庫は21万4900トン(同10.0%減)とかなりの程度減少した(図2)。現地情報によると、旺盛な外食、バーベキュー向け需要に加え、同年7月からカリフォルニア州法第12号(注1)が適用され、同州において飼養基準を満たさない母豚に由来する豚肉の販売が規制される中、7月1日時点ですでにと畜・食肉処理されていた豚肉は年末まで同州にて販売が可能なため出荷増となり、米国全体で在庫量が減少した可能性があるとしている。
23年7月の豚肉卸売価格、需要の増加から今年最高値を更新
USDAによるとUSDAによると、2023年7月の豚肉卸売価格は100ポンド当たり112.17米ドル(1キログラム当たり364.01円:1米ドル=147.20円(注2)、前年同月比7.0%安)と前年同月をかなりの程度下回ったものの、5月以降上昇基調にある価格は、7月に前月比21.0%高と大幅に上昇し、今年最高値を記録した(図3)。7月の休暇シーズンに入り、外食、バーベキュー向け需要の増加が価格上昇の要因とみられている。また、同月の肥育豚価格は100ポンド当たり73.92米ドル(同239.89円、前年同月比12.0%安)と前年同月をかなり大きく下回ったものの、卸売価格と同じく前月比17.2%高と大幅に上昇した。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年8月末TTS相場。
23年6月の豚肉輸出量、前年同月をかなりの程度上回る
USDAによると、2023年6月の豚肉輸出量は26万4900トン(前年同月比9.5%増)とかなりの程度増加し、23年1〜6月の累計では156万5200トン(前年同期比9.6%増)とかなりの程度増加した(表)。1〜6月の輸出量を輸出先別に見ると、最大の輸出先であるメキシコ向けは同国内の堅調な需要から同7.9%増とかなりの程度増加した。また、競合するEU産豚肉価格が高騰したことで、これまでEU産豚肉が優勢となっていた日本、韓国、豪州、フィリピン向けも前年同期を上回った。
(調査情報部 小林 大祐)