23年6月末の繁殖雌豚頭数、総飼養頭数はいずれも微増
中国農業農村部によると、2023年6月末時点の繁殖雌豚頭数は4296万頭(前年同月比0.5%増)と前年同月をわずかに上回っており、同部が最適な水準としている4100万頭程度を4.8%上回っている状況にある(図1)。また、総飼養頭数は4億3517万頭(同1.1%増)と前年同月をわずかに上回り、前四半期末(23年3月)を1%上回った。
23年6月の豚と畜頭数、引き続き前年を上回る
2023年6月の豚と畜頭数は、2647万頭(前年同月比9.7%増)となり、前月を5.7%下回ったものの、前年同月をかなりの程度上回った(図2)。これにより、同年第2四半期(4〜6月)の豚肉生産量は1442万トンと前年同期を4.6%上回った。中国国家統計局によると、23年上半期(1〜6月)の経済状況は回復しているとされているものの、現地関係者からは、労働節(メーデー)の連休(4月29日〜5月3日)需要後の学校などの夏休みに伴う団体消費の減少、気温の上昇に伴う豚肉需要の低下、民間食肉在庫量の増加などにより、5月以降のと畜頭数は減少傾向にあるとしている。
23年7月の豚肉価格、引き続き低水準で推移
豚肉価格は2022年11月から下落が続いており、23年7月は前月比1.6%安の1キログラム当たり23.4元(476円:1元=20.33円(注))となった(図3)。豚肉価格の下落を受けて国家発展改革委員会などは7月14日、前回2月24日以来となる国家備蓄による豚肉の買い入れ(2万トン)を実施した。今後の豚肉価格の見通しについて中国農業農村部は、学校の新学期の開始、中秋節および国慶節に関する連休需要(9月29日〜10月6日)、気温の低下に伴う需要期の到来などにより、回復が期待されるとしている。
子豚価格も豚肉と同様に下落傾向にあり、同年7月は同8.8%安の同31.9元(649円)となった。現地関係者によると、豚肉価格の低迷が続く中で、気温の上昇に伴い子豚の生育環境が厳しくなっていることから、肥育業者のもと豚導入意欲が低下していることを要因に挙げている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年8月末TTS相場。
23年1〜7月の豚肉輸入量、引き続き前年同期を上回る
2023年1〜7月の豚肉輸入量は、105万3849トン(前年同期比14.5%増)と前年同期をかなり大きく上回った(表)。この背景として(1)22年末の国内の豚肉価格高(2)新型コロナウイルス感染症(COVID−19)に関連した規制の緩和(3)労働節の連休需要−などにより、23年1〜7月の総輸入量は伸びているとされる。ただし、5月以降の需給緩和を反映し、6、7月の単月輸入量は前月比で減少に転じている。
(調査情報部 海老沼 一出)