23年1〜7月の鶏肉生産量はわずかに増加
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年7月の鶏肉生産量は、1羽当たり生体重量の増加から168万2000トン(前年同月比0.6%増)となり、同年1〜7月の累計では1215万7000トン(前年同期比2.6%増)とわずかに増加している(表1)。USDAは、5、6月における肉用鶏卵の孵化数が前年同月比で減少しているとして、23年の鶏肉生産量予測を前月発表から5万6000トン引き下げ、前年比1.7%増と見込んでいる。
23年7月の卸売価格は前年同月を大幅に下回る
USDA/ERSによると、2023年7月の鶏肉卸売価格は1ポンド当たり1.18米ドル(1キログラム当たり384.49円:1米ドル=147.20円(注)、前年同月比22.7%安)となり、23年1月以降、高騰した前年を下回ってはいるものの、19〜21年を上回る水準で推移している(図)。また、23年7月の鶏肉期末在庫量を見ると、生産量の増加から36万8450トン(同4.8%増)と前年同月をやや上回った。これらの状況を踏まえてUSDAは、23年下期(7〜12月)の価格見通しを先月の1ポンド当たり1.25米ドル(同405.65円)から同1.13米ドル(同365.09円)に下方修正している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年8月末のTTS相場。
23年6月の鶏肉輸出量はわずかに減少
USDA/ERSによると、2023年6月の鶏肉輸出量は26万6573トン(前年同月比2.0%減)と前年同月をわずかに下回った(表2)。主要輸出先のメキシコ、キューバ、カナダ向けなどが大幅に増加したものの、フィリピン、アンゴラ向けなどの減少が影響した。一方、23年1〜6月の鶏肉輸出量は、メキシコや台湾向けが堅調に推移する中、前年同期比1.1%増となった。
また、同期の鶏肉輸入量は、最大の輸入先であるチリで発生した高病原性鳥インフルエンザにより4〜5月にかけて同国からの輸入が制限されたため、2万7167トン(前年同期比31.7%減)と大幅に減少した(表3)。
(調査情報部 小林 大祐)