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海外需給【鶏肉/中国】畜産の情報 2023年10月号

23年の生産量は増加、原種鶏更新量も回復傾向

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23年上半期の家きん肉生産量は前年同期比増
 中国国家統計局によると、2023年上半期(1〜6月)の家きん総出荷羽数は71億9000万羽(前年同期比4.1%増)、生産量は1113万トン(同4.3%増)となり、おおむね安定的な生産が継続している。また、同年6月末の家きん飼養羽数は63億2000万羽(前年同月比3.5%増)となった。現地関係者によると、同飼養羽数を左右する白羽肉鶏原種鶏の23年1〜5月の輸入および更新量は、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の影響を受けた前年を上回る水準で推移したとしている。
 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)の直近見通しによると、23年の中国の鶏肉生産量(注1)は前年並みの1430万トンとされている(表1)。また、22年以降の世界的なHPAIの流行により中国が原種鶏の輸入を規制したため、22年末から23年初の数カ月にかけて原種鶏の在庫が減少しており、24年の鶏肉生産に影響が出る可能性があることも予測されている。
 
(注1)同国では、家きん肉生産量のうち約6割が鶏肉であるとされている。鶏肉の生産割合については『畜産の情報』2020年5月号「中国の肉用鶏産業の現状と鶏肉需給の見通し」2 肉用鶏産業の概要(1)家きん産業における肉用鶏産業の位置付け(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001123.html#title3)を参照されたい。

 
23年の鶏肉価格は下落傾向から持ち直す
 中国農業農村部によると、2023年8月第2週の鶏肉市場価格は、1キログラム当たり24元(488円:1元=20.33円(注2)、前年同期比0.9%安)と前年同期をわずかに下回った(図)。23年上半期は豚肉価格下落の影響や、飼料価格の下落による生産コストの減少などから鶏肉価格は下落傾向となったが、例年同様に冬場の需要期に向けて7月を境に反転し、7〜8月は前年と同程度の価格となっている。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年8月末TTS相場。

 
23年1〜7月の鶏肉輸入量は前年同期比で増加
 2023年1〜7月の冷凍鶏肉輸入量は、81万7459トン(前年同期比4.9%増)とやや増加した(表2)。現地関係者およびUSDA/FASによると、世界各地でのCOVID−19の再拡大や鶏肉生産地域でのHPAI流行などにより輸入量の少なかった22年に比べ、23年は引き続きHPAIの影響は残るものの、外食産業などの需要が輸入をけん引したとされている。主要輸入先の中でタイ産はHPAIの影響を受けておらず、また、22年からタイの輸出認定工場の規制解除および認定が進んでいることもあり、大幅に輸入量を伸ばしている。

 
23年1〜7月の鶏肉調製品輸出量は前年同期比で減少
 2023年1〜7月の鶏肉調製品の輸出量は、16万8316トン(前年同期比7.4%減)と前年同期をかなりの程度下回った(表3)。中国農業農村部が4月に公表した中国農業展望報告によると、同年の家きん肉の輸出量は67万トン(同6.3%増)と見込まれており、鶏肉調製品の輸出についても同様の傾向が見込まれる。また、同展望報告によると、今後10年間も飼養技術向上に伴い、家きん肉輸出産業は順調に成長することが予測されている。
 
 
(調査情報部 海老沼 一出)