23年6月の生乳生産量は増加も年度累計は前年度比減
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2023年6月の生乳生産量は57万6628キロリットル(59万3926トン相当、前年同月比1.2%増)となり、1年半ぶりに前年同月を上回った前月に引き続き増加した(図1)。
しかし、22/23年度(7月〜翌6月)の累計生乳生産量では、23年4月までの減少が響き、前年度比4.9%減の813万8526キロリットル(838万2681トン相当)となり、DAが22年末に公表していた同年度の生乳生産量の見通しである、21/22年度比4〜6%減(804万〜821万キロリットル、828万〜846万トン相当)の範囲にとどまることとなった(図2)。減産の要因としては、農家の投入コストの増加や労働力不足に加え、年度当初の長雨や洪水の発生などが影響したことが挙げられる。また、DAが23年5月に公表した23/24年度の生乳生産量の見通しによると、生乳生産量は回復傾向にあるとしつつも、継続的な農家戸数の減少や生乳価格動向の不透明性(注)などを要因に、前年度と同様の水準にとどまると見込んでいる。
他方で、米国農務省(USDA)が7月21日に発表した「Dairy: World Markets and Trade」によると、23年(1〜12月)の豪州の生乳生産量を820万トン(795万キロリットル相当、前年比3%減)と見込んでいる。この理由としてUSDAは、春季の多雨による乾草の供給不足や、堅調な牛肉価格を背景とした乳用牛の淘汰による飼養頭数の減少などにより、乳量が制限されることを挙げている。
22/23年度の主要乳製品輸出量、全品目で大幅に減少
DAが発表した2023年6月の主要乳製品4品目の輸出量は、全品目で前年同月比大幅減となった(表、図3)。この結果、22/23年度の累計輸出量は、全品目で前年度比減となった。
これらの減少要因としては、国内の生乳生産者価格の上昇などを背景に乳製品輸出価格が上昇したことなどから、中国をはじめとしたアジア向け輸出の不振にあるとみられている。特に減少幅の大きかったバターおよびバターオイルは、主要輸出先である中国向け輸出量が前年度比減となった中で、輸出額は前年度比2割増となるなど、豪州産の価格優位性が低下し、輸出需要が落ち込んだことなどが影響したとみられている。
(調査情報部 平山 宗幸)