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海外需給【飼料/中国】畜産の情報 2023年10月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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国産トウモロコシ価格、需給の緩和から上昇の継続は困難と予想
 中国農業農村部は8月22日、「農産物需給動向分析月報(2023年7月)」を公表した。この中で、2023年7月の国産トウモロコシ価格は、前月比3.7%高と上昇に転じている(図1)。同月の国内のトウモロコシ需給を見ると、供給面では流通業者の手持ち在庫が限られる中で、需要面では大口需要者である一部飼料企業は在庫の減少から、また、加工企業はでん粉価格の上昇からそれぞれ在庫の補充に動いたとされている。しかし、早期収穫のトウモロコシが一部市場に出回り、また、輸入トウモロコシ、大麦、ソルガムも大量に到着する中で、飼料需要者である養豚企業の経営は赤字が続き、加工企業も設備更新から一部工場が閉鎖している。このため、短期的には国産トウモロコシの価格が上昇を続ける可能性は低いと見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主要養豚生産地である中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着の輸入トウモロコシ価格(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、23年7月が1キログラム当たり2.22元(45円:1元=20.33円(注))となった。また、国産と輸入との価格差は、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.82元(57円)となったことで同0.60元(12円)に広がった。

 
国産大豆価格、需要の減少から弱含みでの推移と予想
 2023年7月の国産大豆価格は、前月並みとなった(図2)。同月の国内の大豆需給を見ると、供給面では産地や流通在庫が限られる一方、需要面では高温多湿の気候による大豆加工製品の賞味期限短縮などから全体的に減少傾向とされている。この先も高温多湿が予想され、さらに8月末まで大学以下の学校が夏休み(学生食堂や給食の休み)となることで、国産大豆価格は弱含みでの推移が見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、23年7月が1キログラム当たり5.14元(104円、前年同月比 16.7%安)と前年同月を大幅に下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.76元(117円、同11.7%安)と同じく下回った。この結果、国産と輸入との価格差は、世界的な穀物相場高の影響による輸入価格の上昇もあり、同0.64元(13円)と前月からわずかに縮小した。
 国際相場に影響する大豆の輸入量については、前年に比べて高い水準で推移している。23年(1〜6月)の輸入量は5258万トン(前年同期比13.6%増)、輸入額は同13.6%増の335億2200万米ドル(4兆9344億円:1米ドル=147.20円(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の56.5%)、米国(同37.5%)、アルゼンチン(同2.7%)であり、5月以降はブラジルからの輸入を高めている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年8月末TTS相場。

 
(調査情報部 横田 徹)