イミダゾールジペプチドは、鶏ムネ肉に多く含まれていることが知られている。ここでは、タイ産モモ肉、タイ産ムネ肉、ブラジル産モモ肉、日本産ムネ肉(いずれも冷凍後解凍したもの)を用い、それぞれの鶏肉中でのイミダゾールジペプチド含量を、超高感度アミノ酸測定機器であるLCMS-8500(島津製作所)を用いて測定した。それぞれの鶏肉100グラム中に含まれるカルノシン、アンセリン含量を測定し、その総量としてイミダゾールジペプチド含量を測定した。その結果、日本産ムネ肉中に最も多くのイミダゾールジペプチドが含まれていることが明らかとなった(表)。
このイミダゾールジペプチド含量の違いが何に起因しているかについては今後明らかにすべきではあるが、遺伝・環境要因により、引き起こされているものと考えられる。特に環境要因として、飼養環境、餌、鶏肉の処理〜保管・保存の状態などが、その一端となっている可能性があり、今後さらに検討すべき点として考えられる。
また、前述のヒト試験の結果から、イミダゾールジペプチドが記憶機能改善効果を示すためには、1日当たり1グラム程度の同成分の摂取が必要であるとされており、その意味でも、なるべく多くのイミダゾールジペプチドを含む鶏肉を摂取することが、同成分の持つ機能性を発揮させるためにも重要であると考えられる。従って、食事を通じて、イミダゾールジペプチドの健康機能を発揮させるためにも、日本産ムネ肉を摂取することの重要性が明らかとなった。