8月の北海道の生乳生産量、前年同月比5.8%減
令和5年8月の生乳生産量は、59万63トン(前年同月比5.9%減)と前年同月をやや下回り、13カ月連続で前年同月を下回った(図1)。地域別に見ると、北海道は34万2917トン(同5.8%減)、都府県は24万7146トン(同5.9%減)といずれも前年同月をやや下回った。北海道は12カ月、都府県は13カ月連続でそれぞれ前年同月を下回った。これは生産抑制に加え、今夏の猛暑の影響などによるものとみられる。
8月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは、31万6211トン(同4.4%減)と前年同月をやや下回った。このうち、業務用向けについては、2万3773トン(同13.5%減)と前年同月をかなり大きく下回った。
乳製品向けは、26万9924トン(同7.6%減)と前年同月をかなりの程度下回り、13カ月連続で前年同月を下回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは、5万7111トン(同0.2%減)と前年同月並みとなり、チーズ向けは、3万6826トン(同5.8%減)と前年同月をやや下回った。脱脂粉乳・バター等向けは、12万8450トン(同13.1%減)と前年同月をかなり大きく下回った(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
8月の牛乳等の生産量を見ると、飲用牛乳等のうち、牛乳は24万8882キロリットル(同4.8%減)と前年同月をやや下回り、成分調整牛乳は2万1336キロリットル(同5.1%減)と前年同月をやや下回った。加工乳は、1万1385キロリットル(同4.7%増)と前年同月をやや上回った。
乳製品のうち、クリームは9093トン(同1.3%減)と前年同月をわずかに下回った。
8月末のバター在庫量、前年同月比31.3%減
8月のバターの生産量は、5097トン(前年同月比16.7%減)と前年同月を大幅に下回り、12カ月連続で前年同月を下回った(図2)。出回り量は6806トン(同2.3%減)と前年同月をわずかに下回った。8月末の在庫量は、2万8123トン(同31.3%減)と前年同月を大幅に下回り、16カ月連続で前年同月を下回った(図3)。
8月末の脱脂粉乳在庫量、前年同月比34.5%減
8月の脱脂粉乳の生産量は、1万185トン(前年同月比15.7%減)と前年同月をかなり大きく下回った(図4)。出回り量は1万3687トン(同9.9%減)と前年同月をかなりの程度下回った(農畜産業振興機構調べ)。8月末の在庫量は、6万3410トン(同34.5%減)と11カ月連続で前年同月を下回った(図5)。
輸入枠数量、5月の検証に続き据え置き
農林水産省は令和5年9月29日、5年度の国家貿易による指定乳製品等の輸入枠数量の検証結果を公表した。これによるとバターおよび脱脂粉乳の在庫量は、適正な在庫水準を上回ることから、本年度の輸入枠数量(生乳換算で13万7202トン)は据え置くものの、事業者の要望などを踏まえ、同年度におけるホエイおよびバターオイルの入札落札数量をバターに振り替え、当初の8000トンから1万320トンに設定することとした。また、脱脂粉乳については750トンに据え置くこととした。当機構は、今回の検証結果を踏まえ、引き続きバター等の入札を実施する予定である。
(酪農乳業部 橋 沙織)