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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2023年11月号

肥育牛価格は引き続き高水準、23年7月の牛肉輸出量は大幅に減少

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23年8月の牛肉生産量、前年同月比5.7%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2023年8月の牛と畜頭数は、284万700頭(前年同月比5.9%減)とやや減少し、この結果、同月の牛肉生産量も107万2000トン(同5.7%減)とやや減少した(図1)。
 と畜頭数の減少について、23年1〜8月の累計では2167万4900頭(前年同期比3.6%減)となり、内訳を見ると、去勢牛が1018万7600頭(同4.6%減)、未経産牛は672万600頭(同1.1%減)となり、肉用経産牛は、米国西部、南部の一部で牧草地の状況が改善したことから、227万6500頭(同13.3%減)と前年同期をかなり大きく下回っている。また、肥育牛価格の高騰による利益率の低下を背景に、食肉処理業者のと畜ペースも鈍化傾向にある。23年の牛肉生産量についてUSDAは、と畜頭数の減少から当初の予測を下方修正し、1222万トン(前年比4.8%減)と前年をやや下回ると見込んでいる。

 
23年8月の肥育牛価格は前年同月比30.6%高
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2023年8月の肥育牛価格は100ポンド当たり185.71米ドル(1キログラム当たり617円:1米ドル(注)=150.58円、前年同月比30.6%高)と引き続き高水準にある(図2)。また、同月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー)は100ポンド当たり308.21米ドル(同1023円、同16.3%高)となり、USDAは、供給のひっ迫や季節的需要の高まりから、今後も同価格は堅調に推移すると見込んでいる(図3)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年9月末TTS相場。




 
23年7月の牛肉輸出量、前年同月比21.8%減
 USDA/ERSによると、2023年7月の牛肉輸出量は10万8887トン(前年同月比21.8%減)と大幅に減少した(表)。主要輸出先別に見ると、同月に首位の日本向けが2万3556トン(前年同月比35.2%減)、続く韓国向けが2万1150トン(同26.3%減)、中国向けが1万7147トン(同37.1%減)と軒並み大幅に減少した。USDAによると、米国内での牛肉価格の高騰や米ドル高の為替相場による米国産牛肉の価格競争力低下を背景に、競合の豪州産へのシフトが進んだ結果などとされている。一方、メキシコ向けは堅調な需要から、1万2124トン(同35.0%増)と大幅に増加しており、好調を維持している。

 
(調査情報部 伊藤 瑞基)