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海外需給【牛肉/ウルグアイ】畜産の情報 2023年11月号

23年1〜7月の牛肉輸出量は前年同期を大幅に下回る

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23年1〜7月の牛と畜頭数は前年同期をかなり大きく下回る
 ウルグアイ食肉協会(INAC)によると、2023年1〜7月の牛と畜頭数は125万5000頭(前年同期比15.8%減)となり、堅調な海外需要を背景に高水準であった前年同期からかなり大きく減少した(図1)。
 ウルグアイではこの3年間、ラニーニャ現象の影響により干ばつとなった。特に22年12月〜23年3月は高温、少雨の厳しい状況に陥り、多くの繁殖農家で経産牛の淘汰とうたも進んだ。同国農牧水産省は22年10月、90日間の農業緊急事態を宣言し生産者に対して飼料や水不足対策などの支援措置を講じ、23年9月まで延長された。

 
23年9月の去勢牛生産者出荷価格は前年同期比3割安で推移
 INACによると、23年9月第2週の去勢牛生産者出荷価格は、中国からの需要低下などを背景に前年同期比30.7%安の1キログラム当たり3.54米ドル(533円:1米ドル=150.58円(注))となった(図2)。これまでの価格の推移を見ると、22年7月に同5.61米ドル(845円)の記録的高値となって以降は下落に転じ、その後23年1月を底に4月末には同4.45米ドル(670円)まで回復したが、再び下落傾向にある。

 
23年1〜7月の牛肉輸出量、中国向けは前年同期比3割減
 ウルグアイ中央銀行によると、2023年1〜7月の牛肉輸出量は、18万9977トン(前年同期比19.6%減)と前年同期を大幅に下回った(表)。また、輸出平均単価は、1トン当たり5911米ドル(89万78円、同15.2%安)と前年同期比でかなり大きく下落した。
 輸出先別に見ると、全体の6割を占める中国向けは、11万7367トン(同28.8%減)と前年同期を大幅に下回り、全体の輸出量減少の要因となった。これは、同国からの引き合いが弱いことやブラジルとの競合などによるものとみられる。一方、中国に次いで全体の15%程度を占める米国向けは2万7874トン(同17.8%増)と前年同期を大幅に上回った。このほか日本向けは3025トン(同22.0%減)と前年同期を大幅に下回った。
 
南米の大手食肉企業で大規模な食肉処理施設買収の動き
 ブラジルに拠点を持ち国際的に事業を展開する大手食肉企業のミネルバフーズは23年8月、大手食肉企業のマルフリグが所有する南米の16の食肉処理施設(ブラジル:11、ウルグアイ:3、アルゼンチンおよびチリ:各1)などを75億レアル(2294億2500万円、1レアル=30.59円(注))で買収することに合意したと公表した。この取引が成立した場合、ミネルバフーズはウルグアイに計七つの牛と畜、食肉処理施設を所有することとなり、同国の処理量の4割程度を占めることとなる。このため、同国業界関係者の関心は高く、今後の動向が注目されている。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年9月末TTS相場。

 
(調査情報部 井田 俊二)