畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 23年1〜7月の乳製品生産量、バター、チーズなど前年同期を上回る

海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2023年11月号

23年1〜7月の乳製品生産量、バター、チーズなど前年同期を上回る

印刷ページ
23年7月の生乳出荷量は前年並み
 欧州委員会によると、2023年7月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1256万7000トン(前年同月比0.2%増)と前年同月並みになり、22年9月から続く増産傾向に歯止めがかかりつつある(図1)。
 主要生産国別に見ると、比較的冷涼で降雨に恵まれたドイツ(同2.1%増)やオランダ(同1.8%増)、ポーランド(同2.1%増)などは前年同月を上回った(表)。これらの国では生乳に含まれる脂肪およびタンパク質の含有率が前年を上回っており、チーズおよびホエイの増産が見込まれている。一方、厳しい干ばつとなったフランス(同2.9%減)やイタリア(同5.8%減)は前年同月を下回った。
 



 
生乳取引価格の下落は鈍化
 欧州委員会によると、2023年7月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり43.74ユーロ(6977円:1ユーロ=159.50円(注)、前年同月比14.4%安)と前年同月をかなり大きく下回った(図2)。ただし、前月比(1.3%安)で見ると同年1月からの下落幅(同2.6〜5.8%安)を下回っており、下落傾向に鈍化が見られる。この傾向について米国農務省は、EU域内乳業からの乳製品加工需要が回復してきたことを挙げている。
 
 (注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年9月末TTS相場。


 
主要乳製品生産量は前年同期比増、23年6月以降の価格は横ばいで推移
 欧州委員会によると、直近の2023年9月24日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり447ユーロ(7万1297円、前年同期比38.2%安)、脱脂粉乳が同233ユーロ(3万7164円、同37.5%安)、全粉乳が同334ユーロ(5万3273円、同31.9%安)、チーズが同358ユーロ(5万7101円、同25.6%安)、ホエイパウダーが同70ユーロ(1万1165円、同37.8%安)となり、すべての品目で前年同期を大幅に下回った(図3)。しかしながら、23年6月以降は各乳製品の価格はほぼ横ばいで推移している。
 23年1〜7月の乳製品生産量は、安定した生乳出荷量や乳固形分の増加から脱脂粉乳を除く主要乳製品で前年同期を上回っている(図4)。また、乳製品輸出量は、乳製品価格が軟化したこともあり、バターやチーズが堅調に推移している。




 
 
(調査情報部 渡辺 淳一)