生乳価格の下落幅は縮小も歯止めがかからず
中国農業農村部によると、2023年9月の生乳価格は、1キログラム当たり3.73元(77.43円:1元=20.76円(注1)、前年同月比9.7%安)と前年同月をかなりの程度下回った(図1)。同価格は、21年9月以降下落傾向で推移している。23年2月以降は6カ月連続で前月比1%以上の下落が続いていたが、9月は前月比0.7%安と下落幅は縮小した。
この要因について現地専門家は、(1)国内の生乳生産量が増加している(注2)一方、(2)COVID−19の拡大やゼロコロナ政策に起因する需要減退からの回復が鈍いこと―を挙げている。
中国農業農村部が23年4月に公表した「中国農業展望報告(2023―32)」では、23年の生乳価格について需要が緩やかに回復することなどから、下落傾向は緩和すると予測していた(注3)。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の23年9月末TTS相場。
乳製品輸入量は5品目で減少傾向
2023年1〜8月の主要乳製品8品目の輸入量は、8品目中5品目で前年割れとなった(表)。
このうち、全粉乳は35万1000トン(前年同期比38.4%減)と最も減少幅が大きい。これは、国内需要の低下から例年であれば1月は年間輸入量の2〜3割程度が輸入されるところ、前年同月比79.8%減となったことが影響した(図2)。5月以降は前年をやや上回るか同等程度の水準で推移しているが、現地専門家は、国内需要(外食や製菓・製パンなど業務向け)が回復傾向にある一方、生乳生産量の好調な増加で国産全粉乳在庫が積み増していることなどから、輸入量の増加は小幅になっているとしている。
なお、上述の5品目のうち3品目(ヨーグルト、バターおよび育児用調製粉乳)の輸入量は前年同期を下回っているものの、輸入額は、輸入平均単価の上昇(ヨーグルト:前年同期比16.7%高、バター:同13.1%高、育児用調製粉乳:同15.1%高)を受け、前年同期を上回っている。
(調査情報部 平山 宗幸)