ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は9月6日、2022/23年度第12回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1、2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
トウモロコシ生産量は上方修正され1億3000万トン台に達する見込み
2022/23年度のトウモロコシ生産量は、前回予測より190万4300トン上方修正され、1億3186万5900トン(前年度比16.6%増)と前年度を大幅に上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった21/22年度の生産量1億1313万400トンを更新すると見込まれている。生産量は3月の公表から7カ月連続で上方修正され、合計812万トンの上乗せとなった。
全生産量の2割強を占める第1期作の生産量は、前回予測と変更なく2737万3200トン(同9.4%増)と前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。これは、作付面積が同2.3%減となったものの、ほとんどの地域で天候に恵まれ、単収が同12.0%増と前年度をかなり大きく上回ったためである。
また、全体の4分の3強を占める第2期作は、前回予測より198万900トン上方修正され、1億216万4500トン(同18.9%増)と前年度を大幅に上回ると見込まれている。これは、多くの地域で播種の遅れが見られたものの、天候に恵まれ生育に適した降水があったためである。なお、第2期作の収穫作業は、作付面積の89.2%で終了しており、前年同期と比べて9ポイント程度遅れている。
地域別に見ると、最大の生産州である中西部マットグロッソ州は、天候に恵まれたことなどから単収が1ヘクタール当たり6.9トンと最大となり、生産量が前年度を大幅に上回った。また、これに次ぐ南部パラナ州では、暴風や病害虫の被害が見られたものの、暖冬のため降霜よる大きな被害も見られず、生産量が前年度をかなりの程度上回った。
同じく全生産量の2%程度を占める第3期作は、前回予測より7万6300トン下方修正され、232万8500トン(同5.3%増)と前年度をやや上回ると見込まれている。最大の生産州である北東部バイーア州では、一部のかんがい地域で収穫が始まった。同州では、直近2カ月間、降雨不足となっており、これに加え害虫(ヨコバイ)の発生拡大が下方修正の要因となっている。
22/23年度の大豆輸出量は前年度を大幅に上回る見込み
2022/23年度の大豆生産量は、1億5461万7400トン(前年度比23.2%増)と前年度を大幅に上回り、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった20/21年度(1億3938万5300トン)の記録を10.9%上回ると見込まれている。これは、南部リオグランデドスル州を除くほとんどの州が天候に恵まれたことで、作付面積、単収とも前年度を上回ると見込まれるためである。特にマトピバ地域やマットグロッソ州で記録的な高水準の単収となった。
需給動向を見ると、22/23年度の大豆輸出量は23年1〜8月の輸出実績を踏まえ前回より130万9000トン上方修正され、9694万9000トン(同23.1%増)となった。一方、期末在庫は129万5000トン下方修正され、587万3900トン(同23.9%増)と見込まれている。
(調査情報部 井田 俊二)