9月の都府県の生乳生産量、前年同月比6.4%減
令和5年9月の生乳生産量は、57万3350トン(前年同月比5.4%減)と前年同月をやや下回り、14カ月連続で前年同月を下回った(図1)。地域別に見ると、北海道は33万2359トン(同4.7%減)と前年同月をやや下回り、都府県は24万991トン(同6.4%減)と前年同月をかなりの程度下回った。北海道は13カ月、都府県は14カ月連続でそれぞれ前年同月を下回った。これは生産抑制に加え、今夏の猛暑の影響などによるものとみられる。
9月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは、33万5262トン(同2.8%減)と前年同月をわずかに下回った。このうち、業務用向けについては、2万4114トン(同9.3%減)と前年同月をかなりの程度下回った。
乳製品向けは、23万4259トン(同9.0%減)と前年同月をかなりの程度下回り、14カ月連続で前年同月を下回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは、5万9201トン(同2.1%増)と前年同月を6カ月ぶりにわずかに上回る一方で、チーズ向けは、3万3760トン(同7.6%減)と前年同月をかなりの程度下回った。脱脂粉乳・バター等向けは、9万1957トン(同21.6%減)と前年同月を大幅に下回った(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
9月の牛乳等の生産量を見ると、飲用牛乳等のうち、牛乳は26万9887キロリットル(同2.7%減)と前年同月をわずかに下回り、成分調整牛乳は2万625キロリットル(同5.1%減)と前年同月をやや下回った。加工乳は、1万1849キロリットル(同10.8%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
乳製品のうち、クリームは9661トン(同1.8%増)と前年同月を7カ月ぶりにわずかに上回った。
9月末のバター在庫量、前年同月比33.4%減
9月のバターの生産量は、3295トン(前年同月比29.5%減)と前年同月を大幅に下回り、13カ月連続で前年同月を下回った(図2)。出回り量は6903トン(同5.9%減)と前年同月をやや下回った(農畜産業振興機構調べ)。9月末の在庫量は、2万6000トン(同33.4%減)と前年同月を大幅に下回り、17カ月連続で前年同月を下回った(図3)。
9月末の脱脂粉乳在庫量、前年同月比36.4%減
9月の脱脂粉乳の生産量は、7942トン(前年同月比21.7%減)と前年同月を大幅に下回った(図4)。出回り量は1万2354トン(同12.5%減)と前年同月をかなり大きく下回った(農畜産業振興機構調べ)。9月末の在庫量は、5万9044トン(同36.4%減)と12カ月連続で前年同月を下回った(図5)。生産量は、令和2年4月以来、3年ぶりに1万トンを下回り、在庫量は、平成30年11月以来、4年10カ月ぶりに6万トンを下回った。
北海道の生乳移出量、前年同月比9.7%増
9月は、例年、学校給食が再開するなど需要が増加する一方で、夏場の暑さなどにより都府県の生乳生産量が落ち込むことから、生乳の道外移出量が最も多くなる。令和5年度における9月の生乳の道外移出量は6万629トン(前年同月比9.7%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図6)。2年9月以来、3年ぶりに6万トンを上回った。
なお、北海道の9月の牛乳等向け処理量は4万8320トン(同6.6%減)と前年同月をかなりの程度下回り、そのうち業務用向けは4371トン(同30.5%減)と前年同月を大幅に下回った。乳製品向け処理量は、22万1324トン(同7.6%減)と前年同月をかなりの程度下回った。
(酪農乳業部 山下 侑真)