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国内需給【鶏卵】畜産の情報 2023年12月号

鶏卵卸売価格、3カ月連続で200円台で推移

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 令和5年10月の鶏卵卸売価格(東京、M玉基準値)は、1キログラム当たり283円(前年同月比18.4%高)と前年同月を大幅に上回った。また14カ月連続で前年同月を上回り、依然として高水準で推移しているものの、8月以降は3カ月連続で200円台となった(図1)。
 また、日ごとの価格の推移を見ると、月初の同295円から4回続落し、30日に同265円となり、月内で30円の下落となった。
 鶏卵相場は、例年、気温の低下とともに最需要期の12月に向けて上昇する傾向がある。9月の同価格は過去の推移と同様に前月よりやや上昇したが、10月の同価格は前月比3.1%安とやや下落した。
 供給面については、9月後半まで続いた記録的な猛暑により、産卵率の低下や小玉率の上昇などの影響があったとみられるものの、10月に入り、気温の低下に伴い産卵に適した環境に近づいたことや、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生農場において再導入されたひな鶏が成長し、産卵を行う羽数が増加していることもあり、供給量は回復傾向にあるとみられる。
 今後、発生農場における再導入のさらなる進展や、気温の低下に伴い産卵率の上昇や安定した卵重が見込まれることから、供給量についてはさらに回復が進むとみられる。
 需要面については、依然として堅調なインバウンド需要や秋の旅行シーズンを迎え、外食の消費拡大の期待が高まっている。また、冬に向けて鍋物、おでんなどの季節需要、年末年始の業務・加工用の需要も見込まれるものの、昨シーズンのHPAIの影響により加工向け需要が低調であることなどから、引き続き需要動向を注視する必要がある。


 
鶏卵小売価格、30カ月連続で前年同月を上回る
 国内の鶏卵消費量のほとんどが国内生産で賄われていることから、鶏卵小売価格は卸売価格の変動の影響を受ける傾向がある。
 鶏卵小売価格(東京都区部)の推移を見ると、10月は1パック当たり307円(前年同月差60円高)となり、30カ月連続で前年同月を上回った(図2)。
 また、月別で見ると4月の299円から5月に308円となり、10月まで6カ月連続で300円台が続いている。8月の310円から、9月308円、10月307円と2カ月連続で下押し傾向にあるものの、同価格は卸売価格と同様に依然として高水準で推移している。
 一方、家計消費の動向を見ると、9月の鶏卵の家計消費購入数量(全国1人当たり)は、849グラム(前年同月比3.8%減)と前年同月をやや下回った(図3)。3月から9月までの月ごとの購入数量を見ると、5年はいずれの月も元年以降、最も少ない数量となっている。
 また、引き続き供給量は回復傾向にあるとみられ、加えて卸売価格は冬に向けて相場が上昇傾向にあることなどから、卸売価格の変動の影響を受けると言われる小売価格と家計消費について、今後の動向が注目される。




 
(畜産振興部 生駒 千賀子)